
「成長したい」という若いビジネスパーソンが増えた。「会社はいつ潰れてもおかしくない」と不安を刷り込まれた若い世代にとって、自分の能力を高めることは生存戦略だ。しかし、同時に「成長したい」と言いながらまったく成長しない若手に「口だけだな」「期待ハズレだった」と感じた人も少なくないはず。それもそのはず、「成長したい」という言葉は口にするほど成長しにくくなるというパラドックスが生じるのだ。キャリアのプロフェッショナルが詳しく解説する。(クライス・アンド・カンパニー代表取締役 丸山貴宏)
連載の新着記事を読み逃したくない方は、連載のフォローがおすすめです。メールで記事を受け取ることができます。
「成長したい」という言葉の
“根本的な矛盾”に気づいていない
最近の新入社員や若手社員は成長に対する意欲が強い。これはいろいろな調査結果で示されています。
たとえばリクルートマネジメントソリューションズの「新入社員意識調査」では、仕事をするうえで重視する要素として「成長」が32.2%でトップとなっています。終身雇用慣行が崩壊し個人にキャリアの自律性が要求されるようになったいま、自分の価値を高めたいとの意識があるのでしょう。
一方、企業側に対する調査を見ても、東京商工会議所の「企業の人材育成担当者による新入社員・若手社員に対する意識調査」では、Z世代の若手社員が他世代の社員と比較して優れている点や特徴だと感じる点として「自己成長に対する意欲が高い」が25.3%となっています。
言うまでもなく自己成長に意欲的な若手社員は、企業にとって非常に歓迎すべき存在です。しかし、中には「本当に成長を望んでいるのかな。口だけではないか……」と疑問を持たざるを得ないような人に遭遇することもあります。