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組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進

就活生に「有望な業界」を聞かれたらどう答えるか

秋山進 [プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役]
【第57回】 2017年1月16日
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新卒採用企業の説明会が集中する3~4月を前にして、業界・企業研究に取り組む学生も多い時期です。OB訪問などで学生から就活の相談を受ける人も増えてきたのではないでしょうか?

法曹、保険、銀行、IT…ある日の就活相談

 とあるカジュアルなレストランで食事をしたときのこと。私たちのテーブルを担当してくれた「アルバイト君」がすこぶる感じのいい、男前な好青年だった。

「いまは大学生?」

好青年「はい、2年生です。そろそろ就職先を考えないといけないなと思ってるんですよ」

 名門大学の法学部に通っているそうだ。

「やっぱり弁護士とかを目指すの?」

好青年「周りには目指している人も多いんです。私も考えてはいますが、将来的にはどうなんでしょうか?」

「AIがかなり発展して、今後、関係法令のチェックや判例調査などはコンピュータがやるようになると言われているよね。最後の判断のところは、しばらく人間が担当するだろうけど、もともと論理の世界だからコンピュータもかなり得意な分野だ。必要とされる絶対人数は減少傾向だし、判例調査で儲けるビジネスモデルは崩壊するかもしれないね」

好青年「そうですか。そうですよね。なので、安定した保険がよいかと思うのですが…」

 もう20年も前に卒業したが、私も就職関係の業界の出身だ。好青年に相談されるうち、だんだん使命感に燃えてきた。

「いやいや、遺伝子情報が明らかになれば、大数の法則(*)で成り立っている今の生命保険のあり方は根本的に変わるよ。それが面白いといえば面白いけど…。損保も地政学リスクがどんどん上がっているから、海上保険はとてもエキサイティングな時代に入って、そういう意味では面白いけど…。でも、損保の収益のベースである自動車保険は、自動運転の時代になればどうなるかな?いずれにせよ保険業界は不確定要素だらけで安定にはほど遠いんじゃない」

好青年「では、銀行はどうですか?」

(*)多くのサンプルデータを重ねることで事象の出現回数が理論値に近づくという法則のこと。この法則に従い、死亡率の統計データから保険料が算出されている。

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秋山 進 [プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役]

リクルート入社後、事業企画に携わる。独立後、経営・組織コンサルタントとして、各種業界のトップ企業からベンチャー企業、外資、財団法人など様々な団体のCEO補佐、事業構造改革、経営理念の策定などの業務に従事。現在は、経営リスク診断をベースに、組織設計、事業継続計画、コンプライアンス、サーベイ開発、エグゼクティブコーチング、人材育成などを提供するプリンシプル・コンサルティング・グループの代表を務める。京都大学卒。国際大学GLOCOM客員研究員。麹町アカデミア学頭。

著書に『「一体感」が会社を潰す』『それでも不祥事は起こる』『転職後、最初の1年にやるべきこと』『社長!それは「法律」問題です』『インディペンデント・コントラクター』『愛社精神ってなに?』などがある。


組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進

日本には数多の組織があり、多くの人がその中に属しています。組織は、ある目的のために集まった人たちで成り立っているにも関わらず、一度“病”にかかれば、本来の目的を見失い、再起不能の状態へと陥ります。しかも怖いのが、組織の中の当人たちは、“病”の正体が分からないどころか、自分たちが“病”にかかっていることすら気づけない点です。

この連載では、日本の組織の成長を阻害している「組織の病気」を症例を挙げて紹介。コンプライアンスの観点から多くの企業を見てきた筆者が考える治療法も提示します。

「組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進」

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