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法然・親鸞の“50年に1度”の大法要で
沸き立つ旅行業界と冷めた京都の温度差

週刊ダイヤモンド編集部
2011年3月11日
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 仏教に興味のない人でも、浄土宗を開いた法然上人、浄土真宗の親鸞聖人の名前だけは聞いたことがあるだろう。今年は法然上人の800回忌、親鸞聖人の750回忌に当たり、50年に1度の大遠忌法要が行なわれる。浄土宗の知恩院、浄土真宗の東本願寺と西本願寺に訪れる参拝客数は合わせて50万人を見込んでいるという。

 法然上人の大遠忌は知恩院で3月末からの1ヵ月だが、親鸞聖人のほうは西本願寺と東本願寺で数ヵ月にわたって執り行なわれるのだという。

 ここに大きなビジネスチャンスを見出しているのが旅行会社だ。全国にある浄土宗や浄土真宗の寺がそれぞれ地元の檀家を連れて「大遠忌法要ツアー」を行なう際に、バスや宿泊などの手配や旅行プランの策定といった通常の旅行業務にとどまらず、法要期間中のバスの管理や人の流れをスムーズに動かすためのルート選定など、イベントの裏方も務める。

 そのトップはKNT(近畿日本ツーリスト)。主に西本願寺と知恩寺での大遠忌で取扱高65億円、取扱い人数は13万5000人を狙っている。人数シェアでいえば、全体の3分の1を占める。50年前の大法要でも取り扱った経験を生かそうとしている。JTBや日本旅行もKNT同様、京都に専門部隊を置き、50年に1度の大イベントの準備に追われている。

 ホテルにとっても追い風。ある近隣ホテルの宿泊担当者は「法要期間中は満室。団体で泊まるため、団体割引は適用しているが、インターネットほど値崩れしていない」と言う。

 それとは対照的なのが京都市内の雰囲気。3月に入ったというのに、東本願寺や西本願寺近くの店には、「親鸞聖人750回忌引大法要」と書かれたのぼりが散見される程度。駅に貼ってあるポスターは京都市美術館の「親鸞展」で、観光案内所にも知恩院のパンフレットが観光マップなどと同じように置かれている程度。

 ある関係者は、「法要の時期が桜の見ごろと重なる可能性が高く、信徒以外の参拝者がマイカーで押しかけると渋滞が大変なことになる。ただでさえ、バスの待機場所がなくて周辺の神社などを借りてやりくりしているのに」と消極姿勢の理由を打ち明ける。寺関係者も「渋滞を引き起こしたら、宗教への風当たりがさらに強くなる」と内情を明かす。

 それでも、寺側も仕掛けを忘れていない。もっとも熱心なのが東本願寺。地元の京都商店連盟に声をかけ、京都市勧業会館で法要期間中に「ごえんき村」を開催。老舗や飲食店など約70店を集めた。京都市美術館の来場者のほか、東本願寺への法要客の土産需要を狙う。合計で9万人の来場者を見込んでいるという。ある土産物屋の店主は「出店料として売上げの5%を取られるが、京都の盛り上げに一役買うとなると断れない」。

 大法要という50年に1度の大型イベントを前に、京都や市民の盛り上がりはいまひとつだが、「桜の時期が勝負」(寺関係者)。水面下でのラストスパートの行方が注目される。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 大坪稚子)

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