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モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫

VW、トヨタから世界一奪還でも消えない懸念

佃 義夫 [佃モビリティ総研代表]
【第47回】 2017年1月27日
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Photo:VW

VW対トヨタの販売台数
明暗はどこにあるか

 昨年、2016年の世界販売台数は、独フォルクスワーゲン(VW)グループが1031万台(前年比3.8%増)となり、日本のトヨタグループ(ダイハツ、日野を含む)の1017万台(前年比0.2%増)を抜いて世界トップの座を奪還した。

 4年連続世界販売台数で首位を守ってきたトヨタは、これでVWの後塵を排することになった。一方、VWが世界販売台数で1000万台を超えるのは2014年以来のこと。

 VWは、米国でのディーゼル車の排ガス検査における不正問題が発覚した2015年9月以降、販売が減退しこれが長引く懸念も示されていた。しかし、グループのアウディやポルシェなどが好調であったことと、地元の欧州では景気回復が早く、加えて世界最大市場の中国で販売を伸ばしたことが大きい。

 これに対し、トヨタが世界販売で伸び悩んだ大きな要因は、やはり全体の3割を占める北米市場だろう。トランプ政権誕生で揺れる日米自動車問題だが、米国での実態は、トヨタを筆頭に日本車は現地化で定着している。ガソリン安のためピックアップトラックや大型SUV(スポーツ・ユーティリティ・ヴィークル)などの大型車に需要がシフトする中で、トヨタの展開が遅れたことと、ハイブリッド車「プリウス」やモデルチェンジ前の「カムリ」などが苦戦したことである。

 これに加えて、昨年は4月の熊本大地震の影響による減産や系列の資材・部品メーカー工場の事故に伴う稼働停止があったために、国内生産面での稼働・供給体制が十分でなかった。さらに国内で昨夏、完全子会社化したダイハツの軽自動車が伸び悩んだことも挙げられる。

 こうして世界のトップを競い合うビッグ2のトヨタとVWは、2016年の年間販売台数で首位逆転となったわけだが、トヨタサイドは比較的冷静で、「世界販売台数は1000万台ラインをキープしていけばいい」という声もある。

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佃 義夫[佃モビリティ総研代表]

つくだ・よしお/1970年、創刊86周年(2014年2月時点)の歴史を持つ自動車産業日刊専門紙『日刊自動車新聞社』入社、編集局に配属。自動車販売(新車・中古車)・整備担当を皮切りに、部品・物流分野を広域において担当した後、国土交通省・経済産業省など管轄官庁記者クラブ、経団連記者クラブ(自工会分室)と、自動車産業を総合的に網羅し、専任担当記者としてのキャリアを積む。その後、該当編集局内における各分野のデスク・論説担当編集局次長を経て、出版局長として自動車産業オピニオン誌『Mobi21』を創刊。以降、取締役編集局長・常務・専務・代表取締役社長を歴任。45年間の社歴全域で編集・出版全体を担当、同社の「主筆」も務める。日刊自動車新聞社を退任後、2014年に「佃モビリティ総研」を立ち上げ、同総研代表となる。


モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫

「自動車」から「モビリティ」の時代へ――。クルマ業界が変貌を遂げつつあるなか、しのぎを削る自動車各社。足もとで好調を続けるクルマ業界の将来性と課題とは、何だろうか。日本の自動車産業・クルマ社会をウオッチしてきた佃義夫が、これまでの経験を踏まえ、業界の今後の方向・日本のクルマ社会の行方・文化のありかたなどについて、幅広く掘り下げ提言していく。

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