ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫

「ゴキゲン♪ワーゲン」のVWに何が!?
日本法人社長の唐突な辞任劇が生んだ波紋

佃 義夫 [佃モビリティ総研代表]
【第11回】 2015年8月18日
1
nextpage

VW日本法人社長が突然辞任
順調だったはずの同社にいったい何が?

いったいVWに何が起きているのか
Photo by Ryosuke Shimizu

 世界の新車販売で今上期、フォルクスワーゲンがトヨタを抜いて首位奪還というニュースが流れた矢先に、VW日本法人の社長が突然辞任することが明らかとなり、「VWに何が起きたのか?」と、輸入車業界で大きな話題を呼んでいる。

 7月31日付けでフォルクスワーゲングループジャパン(VGJ)は、庄司茂代表取締役社長の辞任を発表。これがまさに突然のことで、VGJは「本人の意向」と社長の辞任理由をコメントしたものの、その真意はどうも異なるようだ。

 庄司茂氏は、伊藤忠商事出身で海外での自動車事業経験が長く、3年前に独VW本社入りし、日本法人社長に派遣された。氏は、日本の輸入車業界団体の日本自動車輸入組合(JAIA)理事長も務めていたが、突然の辞任で、JAIA理事長職も空席となる事態となった。いったいVWに何が起きているのか。

 独VWは、今やトヨタと世界の覇権争いをする「世界の自動車ビッグ2」だが、本国でVW帝国の絶対的なリーダーとして長らく君臨してきた「ドクターピエヒ」ことフェルディナント・ピエヒ氏が、この4月25日にVWの最高意思決定機関である監査役会会長を辞任。これを独メディアは、VWの「お家騒動」と伝えた。

 どうもVW本体内部が揺れ動いていることは確かであり、ピエヒ後継とされていたマルティン・ヴィンターコーン社長が安泰かというと、そうでもないようだ。同社には、昨年の販売が2%減の59万台にとどまった米国事業への不満、トップを走ってきた中国事業が経済停滞の影響を受けそうなことに対する懸念、といった課題があった。二輪車から大型トラックまで12ブランドを抱えるVWグループだが、6割を占めるVW乗用車事業の利益率がアウディの半分以下(前期実績)というのが内情だ。

 日本法人トップの7月末の突然の辞任も、VW本体のお家騒動の余波とも受け止められよう。それというのも、伊藤忠商事出身の庄司茂氏は、3年前の2012年6月にヘッドハンティングで独VW本社入りして以降、8月に日本法人社長に就任してから、意欲的な動きを見せてきたからだ。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

佃 義夫[佃モビリティ総研代表]

つくだ・よしお/1970年、創刊86周年(2014年2月時点)の歴史を持つ自動車産業日刊専門紙『日刊自動車新聞社』入社、編集局に配属。自動車販売(新車・中古車)・整備担当を皮切りに、部品・物流分野を広域において担当した後、国土交通省・経済産業省など管轄官庁記者クラブ、経団連記者クラブ(自工会分室)と、自動車産業を総合的に網羅し、専任担当記者としてのキャリアを積む。その後、該当編集局内における各分野のデスク・論説担当編集局次長を経て、出版局長として自動車産業オピニオン誌『Mobi21』を創刊。以降、取締役編集局長・常務・専務・代表取締役社長を歴任。45年間の社歴全域で編集・出版全体を担当、同社の「主筆」も務める。日刊自動車新聞社を退任後、2014年に「佃モビリティ総研」を立ち上げ、同総研代表となる。


モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫

「自動車」から「モビリティ」の時代へ――。クルマ業界が変貌を遂げつつあるなか、しのぎを削る自動車各社。足もとで好調を続けるクルマ業界の将来性と課題とは、何だろうか。日本の自動車産業・クルマ社会をウオッチしてきた佃義夫が、これまでの経験を踏まえ、業界の今後の方向・日本のクルマ社会の行方・文化のありかたなどについて、幅広く掘り下げ提言していく。

「モビリティ羅針盤~クルマ業界を俯瞰せよ 佃義夫」

⇒バックナンバー一覧