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500円売春に不正入手薬…西成あいりん地区の貧困とカオス(下)

秋山謙一郎 [フリージャーナリスト]
2017年1月28日
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>>(上)より続く

生活保護は受けたくない…
申請を拒む人の理由

 仕事にアブレた人たちの過ごし方は様々だ。

「白手帳持ち」たちが泊まるドヤ。一泊1200円でも、西成では“高級ホテル”扱いだ

 お堅い勤め人である白手帳持ちたちが、ここ西成では“高級ホテル”の扱いである1泊1000~1500円のドヤ(簡易宿泊所)で作業服を洗濯してアイロン掛けし、次の派遣先での仕事に備えるのに対し、手に職を持たない路上生活者たちは、朝からあいりん労働福祉センターで寝袋や布団を敷いて寝るか、近隣の飲み屋で一杯引っ掛ける。そして西成のメインストリートである「三角公園」や「四角公園」で仲間たちと憩いの一時を過ごす。

 その三角公園に集う、路上生活者の1人で「たぶん、今年、65歳やと思う」と語るシゲルさん(仮名・本人によれば鹿児島県出身)に話を聞いた。

 「兄弟も多いし家は貧乏やった。中学出てすぐ大阪に出てきたんや。ヤクザの使い走りもやったけど、根性のうて続かなんだ。もうこの年やから体もきつい。せやから(生活)保護受けよかて思うこともあるんや。でもな、それしたら“家族やった人”に迷惑かかるやろ?」

 生活保護受給申請を拒み、路上生活を送り続けるのは、このシゲルさんのように残された家族・親族に行政から連絡が行くことを恐れているというケースの他、路上生活者間でのコミュニティから逸れてしまうことを嫌ってというケースもある。シゲルさんの路上生活者仲間のカズオさん(仮名・70)は言う。

 「(生活)保護受けたら、“福祉アパート”ゆう名のドヤで暮らすことになる。そしたらもう仲間とは会いにくいわな。それがな…。辛いんや」

 実際、寄る年波に勝てず、路上生活を諦めて生活保護受給を申請、「福祉アパート」を兼ねる簡易宿泊所に住んだはいいが、かつての仲間たちとの連絡を断ち、孤独死に至ったという話は西成ではよく耳にするところだ。

 一方、受給したくとも申請できないケースもある。俗に「“手配”がかかっている」と呼ばれる状態にある人だ。

 この“手配”には2つの意味がある。ひとつは何らかの犯罪に関わり警察から指名手配されているというもの。そしてもうひとつは、暴力団組織と関わり、そこで下手を打ち(失敗し)、逃げているというケースだ。

 「警察、暴力団どちらを問わず、手配がかかっている人は、足がつくことを嫌い生活保護受給を申請することはまずない。また警察や暴力団の目に付かないよう、西成でもおとなしく暮らしていると聞く。そういう人が路上で亡くなると、もう家族はその人の行方を探すことはまずできない」(大阪市関係者)

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