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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

海外へ脱出する中国人もいれば、被災地に赴く中国人もいる

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第45回】 2011年3月24日
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 先日、官庁関係者との昼食を挟んだ打ち合わせの場が急きょ変更になった。最初は某有名ホテル内にある中華レストランだったが、直前になって地震の関係でレストランがしばらく閉鎖することになったという知らせが来て、そのため大手町の和食レストランになった。

 邪推かもしれないが、ホテルの中華レストランのほうは人員が確保できなくなり、店の運営に支障をきたしているのではないかと思う。というのは、最近、都内の中華レストランで人手の確保に苦しんでいるところが多いからだ。

 今回の大地震と福島原発による放射線漏れ事故は、言葉の壁があり、情報収集力の弱い外国人、特に在日中国人社会に大きな恐怖感を与え、一種のパニック状態を引き起こした。

 出国のために多くの中国人が空港に殺到し、航空会社もしたたかに稼ごうと普段は4万~5万円のエアチケット代をノーマル料金かそれに近い値段にまで釣りあげた。それでもチケットが求められず、布団などを空港に持ち込んで寝泊まりしながらキャンセル待ちをしていた中国人もかなりいた。

 職場放棄で逃亡した中国人も多数いた。ある総合電機メーカーの日本人幹部からのメールには、困惑した現場の声が記録されている。

 「今は、4月から実施されるシステム開発の追い込みや期末対応で忙しい時期になっています。東京の交通機関の混乱もあり、出社が出来ない人には宿泊施設を確保して対応してもらっています。そうした時期に残念ながら(下請けとなる)一部のソフトウェア会社の要員は余震や原発事故の影響を心配して自宅勤務や帰国する人達も出てきています。勿論、個人の行動は制約できませんが、風評や事実に基づかない判断で行動されているのはまことに残念です。無用な混乱が起きないよう、中国国内にも是非、正しい情報を伝えていただいて、皆さんのご支援で一日でも早い復興が叶うことを願っています」

 来日期間がまだ短い留学生や就職者に日本脱出を選ぶ人が集中した。なかには、全員が脱出した際、宿舎のガスや電気を消すのも忘れるほどの慌てようだった学生寮もあるという。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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