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野口悠紀雄 未曾有の大災害 日本はいかに対応すべきか

今年夏の電力不足に
基本料金見直しの必要性は大きい

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第3回】 2011年3月23日
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 「基本料金の見直しで、節電と利用平準化を進めよう」という緊急提言に対して、これまで70通を超えるご意見をいただいた。御礼申し上げたい。

 以下では、この提言がどの程度の効果を持ちうるかを評価し、また提言の意味について若干の補足を行なうこととしよう。

この提案で、
計画停電を超える需要抑制ができる

 まず、この提案が持ちうる効果を、定量的に評価してみよう。

 第2回の「世論調査」によれば、「40A以上を5倍にする」という基本料金の引き上げが行なわれた場合、「40A未満の契約に変更する」との回答が5割を超えている。「40A以上を継続する」との回答は8%程度だから、基本料金の引き上げはきわめて大きな効果を持つことが分かる。

 では、これによって家庭のピーク時使用電力はどの程度抑制されるだろうか? この答えは、現在の契約アンペア数の分布と、ピーク時における実際の使われ方に依存する。それらに関するデータが得られないため、正確な評価は難しい。

 そこで、世論調査の結果をもととして、ごく大まかな推計を行なってみよう。

 まず、全体の約半分の家計はもともと40A未満の契約であるか、あるいは変更をしないので、効果がない。契約を30Aに変更する家庭数が全体の半分あり、それらの家庭の現在の契約アンペア数は、40A、50A、60Aに均等に分布しているとしよう。すると、現在40Aの家庭による契約アンペア数の削減率は、1/6×(40-30)/40=1/24、現在50Aの家庭による削減率は1/6×(50-30)/50=1/15、現在60Aの家庭による削減率は1/6×(60-30)/60=1/12である。したがって、家庭全体で契約アンペア数が1/24+1/15+1/12=0.19だけ削減される。以下では、簡単化のため「2割減」としよう。そして、ピーク時の使用電力が同率だけ減少するものと考える。

 他方で、計画停電はどの程度の需要を削減しているのだろうか?

 東京電力は、3月22日に、計画停電実施後の電力使用状況を公開した(http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/110322b.pdf)。ただし、このグラフから計画停電の効果を読み取ることは難しい(停電実施時間帯の使用電力は、前年に比べれば低下しているが、前日に比べれば増加している)。

 そこで、つぎのように考えることとしよう。現在行なわれている計画停電は、対象地域を5グループに分けて行なっている。したがって、仮に対象地域が東電管内のすべてをカバーしていれば、これによる削減率は1/5程度になるだろう。しかし、実際には23区の大部分が除外されているため、全体の削減率は1/5をかなり下回ると考えることができる。

(※)編集部註:「世論調査」の結果は、本稿執筆時点の途中集計による。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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