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野口悠紀雄 未曾有の大災害 日本はいかに対応すべきか

緊急提言2:
基本料金の見直しで、節電と利用平準化を進めよう

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第2回】 2011年3月19日
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 3月16日に、「電力需要抑制のために価格メカニズムの活用を」という緊急提言を行なった。本欄の最後に設けた「世論調査」の現時点での結果を見ると、計画停電の支持率が低く、価格方式や課税方式に支持が集まっている。

 吉本真之さんからは、私のホームページ「野口悠紀雄Online」宛に具体的な提案をいただいた。それは、「各家庭の基本料金を、40A以上は5倍程度に値上げする」というものである。これは、大変優れた方式だと考えられるので、その意義を検討してみたい。

電力料金は、基本料金と電力使用量料金で構成される

 まず最初に、電気料金の仕組みについておさらいしておこう。

 家庭の電気料金は、「基本料金」と「電力使用量料金」によって計算される。東京電力の場合、「基本料金」は、契約アンペア数に応じて設定されている(http://www.tepco.co.jp/e-rates/individual/basic/charge/charge01-j.html)。30Aは月額819円、60Aは1638円などとなっている(消費税込み)。電力使用量料金は、電力使用量に応じて課金される料金で、使用量が増えるごとに単価も高くなる。ただし、契約アンペア数にはよらない。1kWhあたり料金は、最初の120kWhまで17.87円、120kWhを超え300kWhまで22.86円、それを超過する場合に24.13円となっている。

 契約アンペア数を超える電流が流れると、アンペアブレーカーが作動して、電気の供給を自動的に止める。その場合には、いくつかの電気器具を止めてから、スイッチを入れ直すわけである。

 したがって、「基本料金」とは、「同時に使える電力に関してより大きな自由度を獲得するための料金」ということができる。そして、1か月間に使用した総電力料は、契約アンペア数によらず、「電力使用量料金」に反映されるわけである。

 通常の財やサービスであれば、料金は「電力使用量料金」に相当するものだけだ。電力の場合にこれとは異なる料金体系が採用されているのは、ピーク時の供給対応が重要な課題だからである。

40A以上の基本料金を値上げすれば、
自主的な節電と利用平準化が進むだろう

 では、仮に「40A以上は5倍にする」という基本料金の引き上げを行なった場合、人々はどのように反応するだろうか?

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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