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医療・介護 大転換

「日本式介護」のアジア輸出は成功するか?

浅川澄一 [福祉ジャーナリスト(前・日本経済新聞社編集委員)]
【第70回】 2017年2月1日
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官民挙げての介護事業海外展開プラン

日本の介護事業を優れた「日本式」と命名して海外に売り込む

 介護事業者のアジア進出を政府が全面的に後押ししようとしている。現地で施設を作り、日本ならではの「日本式介護」を売り物にするという。進出国でその介護サービスへの評価が高まれば、日本に就労や研修で人材が送り込まれ、介護現場の人手不足の解消につながる。

 相手国には日本からの優れた介護技術が根付き、日本でのキャリア形成の道が拓け、そして日本では深刻な状況に陥っている介護人材の安定的な確保となるわけだ。そんな「ウイン-ウイン」構想が急ピッチで進行中だ。

 司令塔となる官民挙げての横断組織が2月中にも旗揚げする。政府や介護事業の業界団体、日本医師会のほか大手商社などが参加する「アジア健康構想協議会」である。オールジャパン体制というからかなりの大事だ。昨年来、自民党の国際保健医療戦略特命委員会(武見敬三委員長)が練り上げてきた介護事業の海外展開プランに沿った組織作りだ。

 なぜ、アジアへの進出なのか。答えは簡単、アジア諸国でも早晩、高齢化が進んで介護問題が起きてくる。富裕層を中心に大きな介護市場が浮上する。先輩国の日本が手本を示しながらリーダーシップを発揮できると踏んだ。国連や世界保健機構(WHO)が定める「高齢社会」へと各国は一斉に入りこむ。高齢化率7%を「高齢化社会」とし、14%になると「高齢社会」と定義される。

 中国は2000年に高齢化社会となり、2026年に高齢社会に突入する。韓国とシンガポールも同様の年に高齢化社会を迎え、それぞれ2018年と2019年に高齢社会に。インドやインドネシアが高齢社会に入るのは2050年と遅れるが、タイなど他のアジア諸国は2020年代には仲間入りする。欧米諸国では、高齢化社会から高齢社会への移行までに60年以上かけてきた国が多数だが、アジア諸国ではわずかに二十数年である。日本も24年だった。

 つまり、高齢化のスピードが速い。欧米的発想では追い付かない。高齢社会から次の段階、高齢化率21%の「超高齢社会」への進行も同様だ。台湾や韓国で介護保険制度に踏み切ったことでも明らかだろう。こうした背景を踏まえて、「今こそアジアへ」となったようだ。

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浅川澄一 [福祉ジャーナリスト(前・日本経済新聞社編集委員)]

あさかわ・すみかず/1948年2月東京都中野区生まれ。東京都立西高校から慶應義塾大学経済学部に。1971年日本経済新聞社に入社。小売り・流通業、ファッション、家電、サービス産業などを担当。87年に月刊誌『日経トレンディ』を創刊、初代編集長を5年間勤める。93年流通経済部長、95年マルチメディア局編成部長などを経て、98年から編集委員。高齢者ケア、少子化、NPO活度などを担当。2011年2月に定年退社。同年6月に公益社団法人長寿社会文化協会常務理事に就任。66歳。

 


医療・介護 大転換

2014年4月に診療報酬が改定され、ついで6月には「地域医療・介護総合確保推進法」が成立した。これによって、我が国の「医療」「介護」大転換に向けて、第一歩が踏み出された。少子高齢化が急速に進む中で、日本の社会保障はどう大きく変革するのか。なかなかその全貌が見えてこない、医療・介護大転換の内容を丁寧に解説していく。

「医療・介護 大転換」

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