東日本大震災で甚大な被害を被った東北地方は、復興を目指してゆっくりとではあるが着実に歩を進めつつある。その一方で、暴走する原発への対応は後手に回り、国民は不安を払拭し切れない。さらに不安を掻き立てるのが、「近いうちにまた大地震が発生するのではないか」という憶測だ。地震学上、日本列島がこれからも周期的に大地震に襲われる可能性が高いのは事実だ。しかし、今後我々が考えるべきは、いたずらに不安を募らせることではなく、これまでの研究データを冷静に見据えながら、地に足の着いた防災意識を高めることである。(取材・文/友清 哲、協力/プレスラボ)

原発事故と東海地震が頭をよぎる――。
大震災直後に震度6強に晒された富士宮市

 3月15日、東日本大震災の余波が全貌を見せぬうちに、静岡・富士宮を襲った震度6強の強震。半ば条件反射のように、「嫌な予感」を思い巡らせた周辺住民は決して少なくなかったはずだ。

 その「嫌な予感」を引き起こした要因は、大きく2つある。1つはここでも原発だ。静岡にも浜岡原発がある。早期に「原発に異常なし」と発表されたことで無用なパニックは避けられたが、被害がどれだけ拡大するか読めない福島原発に加え、今このタイミングで浜岡でも事故が起きれば、国の中枢機能は本格的に停止してしまうだろう。想像するだけでも背筋が凍る事態だ。

 もう1つの要因は、かねてから予期されている「東海地震」だ。想定段階ですでに名称が付けられているのは、地震大国でも珍しいケース。これは、ユーラシアプレートとフィリピン海プレートの接地部分の北端に位置する駿河トラフが、周期的に大型の地震を起こすと理論上で証明されていることから、前もって予測されているものだ。

 こうした先入観があったため、富士宮地震において「ついに来た!」と反応する声が多かったことは当然と言えるだろう。