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岸博幸のクリエイティブ国富論

政府の焼け太りが始まった

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第134回】 2011年4月8日
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 東日本大震災の被災地の方々が復旧に向けて大変な思いを続け、また福島第一原発がまだ落ち着かない状況であるにもかかわらず、予想されていた良くないことがもう政府内で始まってしまいました。それは、“震災を奇禍とした政府の焼け太り”です。

日本郵政

 その代表例は日本郵政ではないでしょうか。ご承知のとおり、小泉時代に郵政民営化が行なわれましたが、民主党政権になって大きく逆行し、事実上の再国営化を目指す郵政改革法案が用意されています。

 そもそも日本郵政は、既にもう危機的な状況にあります。稼ぎ頭の郵貯は預入残高が減少を続ける一方で、郵便事業は年間1千億円もの赤字になっているからです。国民新党の亀井代表が率先した、ゆうメイト(アルバイト)の正社員化などの間違った政策が大きく影響しています。

 そうした中で、早く郵政改革法案を成立させてしまおうという動きが、日本郵政の幹部などの関係者を中心に水面下で進んでいるようです。その大義名分は、東北地方の復旧・復興に向けた財政支出のために増発されるであろう国債の引き受け手としての重要性のようです。

 しかし、郵貯の残高は漸減しており、その余裕はあまりないはずです。再国有化を急ぐ本音は、どちらかと言えば、1千億円レベルの赤字が続くことが予想される郵便事業に関する経営責任を、経営陣から国に移転することに他ならないのではないでしょうか。

企業再生支援機構

 もう一つの例は、リーマンショック後の景気悪化の中で企業の再生を支援するために2009年に設立された公的な企業である、企業再生支援機構(以下「機構」と略す)です。

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岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


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