清水富美加さんの出家騒動と、幸福の科学側の主張が連日、芸能マスコミを騒がせている。芸能界からのコメントは批判的なものが多いが、これを情報戦として見ると、芸能界のブラックぶりを主張する幸福の科学の戦略は、かなりいい線を行っていると言える。(ノンフィクションライター・窪田順生)

批判コメント続出だが
善戦している清水サイド

 これはもしかしたら日本の芸能ビジネスの構造を変える「奴隷解放運動」につながるかもしれない――。

清水富美加が芸能界総スカンでも世論を味方にできた理由独立する俳優やタレントは干されるなど、芸能界のブラックぶりは相当なもの。今回、幸福の科学は、芸能界がひた隠しにしてきた横暴なカルチャーを糾弾する作戦に出ている Photo:MANTAN/AFLO

 連日のようにワイドショーを賑わす女優・清水富美加さんの「出家騒動」。コメンテーターや芸能人たちの過半数は、「宗教家になって人を救うっていうけど、撮り直しとかでみんなが不幸になっているだろ」などと、清水さんに批判的なのはご存じのとおりだ。

 当初は「まだ若いから精神的に追いつめられちゃったのかな」なんて心中を察していた人々もいたが、清水さん本人がSNSで「ぜんぶ、言っちゃうね」(幸福の科学出版)という暴露本の告知をしたあたりから、「恩を仇で返すやり方は人としてどうなの」という厳しい声が上がってきた。また、ネット上でも「最初は同情してたけど、炎上商法だったのか」と批判的にとらえる人も増えてきている。

 このように賛否両論でいえば、明らかに「否」が多くなってきている清水さんと「幸福の科学」のやり方だが、「情報戦」という観点でいえば、決して「悪手」ではない。むしろ、かなり善戦をしているくらいだ。

 独立を目論んだ元SMAPの4人が見せしめのように「公開謝罪」させられたことや、朝ドラ女優の能年玲奈さんが、ぱたりとテレビから消えたことからもわかるように、「独立騒動」は9割方、タレント側が痛い目に遭って終わる。

 いや、大御所タレントだと、個人事務所でやっている人もちょいちょいいるじゃないか、と思うかもしれないが、ほとんどは「独立」をうたいつつも、実態は別の大手事務所の庇護下へ移っただけであったり、多額の「手切れ金」を事務所側に支払っても一定期間は干されたりと「重い代償」を支払わなくてはいけない。