編集者がつくった書籍を、まるで自分のもののように大切に売ってくれる一方で、時に厳しい意見も頂戴します。それも愛情の証。だから多くの編集者が絶大な信頼を置いています。それが、リブロ池袋本店のマネジャー、昼間匠(ひるまたくみ)さんです。

 後編の今回は、「売れる本とは何なのか」「書店とは一体どんな場所であるべきなのか」まで踏み込んだ激論となっています。(前回の記事はこちら) 

「何か売れるか」より「そうすれば売れるか」

――ビジネス書と文芸書では売り方が違いますか?

リブロ池袋本店昼間さん。「作り手と売り手の工夫次第で多くの読者を引き付けられること。それがビジネス書の面白さです」

昼間 文芸書は、著者名のウェイトが高いです。その人が時代小説を書こうが、ミステリーを書こうが、その著者の好きな読者が一定数いるので売れます。ビジネス書の場合、著者名で売れる側面もありますが、それは一部で、タイトルや中身が問われます。だから著者名だけで売ることのできないビジネス書は、タイトルや装丁などがより重要になります。

 これは逆に言うと、チャンスというか作り手や売り手の工夫次第で、振り幅が大きくなるということです。文芸書の観点から言うと、ビジネス書の場合、ほぼ無名の著者がテーマや中身、そしてタイトルや装丁などで多くの読者を引き付ける可能性があると思うんです。著者が決定的な売れる要因にならないビジネス書の場合、大きな版元も小さな版元も、同じようにチャンスがあるということだと思います。

――多くのビジネス書を見てこられて、売れそうな本の特徴ってありますか?

昼間 そんなのわかんないですよ(笑)。当たることもあれば、外れることもある。覚えているのは当たったときのことだけですが(笑)