空洞化する法科大学院
制度維持は風前の灯

「妥協の産物」で生まれ、崩壊寸前の法科大学院に対し、文科省がどんな舵取りをするか注目される Photo by K.O.

 また、司法制度改革失敗のなれの果てとして、よく槍玉に上がるのが法科大学院だ。

 かつては司法試験に合格すれば法曹資格を得られたが、今は法学部出身なら2年、それ以外なら3年、法科大学院に通ってから司法試験を受けなければならない。

 たしかに、法科大学院で弁護士数は急増したが、受け皿がなく、ついに国と弁護士会は司法試験合格者を減らす方向に舵を切った。

 そのため、法科大学院の志願者が2004年の7万2800人から16年には8274人へと激減し、募集停止や廃止をする大学が続出。しかも、高額な学費が払えない人のために設けた予備試験制度が、成績上位者のバイパスとなり、法科大学院の空洞化に拍車をかけた。もはや制度維持は風前の灯だ。

 この状況に対し、『誰が法曹業界をダメにしたのか もう一度、司法改革を考える』(中央公論新社)の共著者・斎藤浩弁護士は「私は司法制度改革を是とする立場だ」と前置きした上で、「何よりも“大きな司法”をつくることによってのみ、法曹界は救われる。仕事がないと言うのは、大都市で裁判をやりたいということにすぎない。地方の県で非常にいい条件で常勤弁護士を募集しても若者は行かない。弁護士の仕事は裁判だけではない。法曹資格者数に恣意的な制限を設けないことが重要だ」と言い切る。

 その上で、「最初の制度設計の間違いから、魅力のない法科大学院ができてしまった。アメリカは法学部がもともとなく、韓国では法学部のある大学には法科大学院を置かないようにした。日本でも地方に分散させて校数を20校程度に抑えなければ、本当にいい法科大学院はつくれない」と分析する。

 さらに「文部科学省が、『法学部が日本を支えている』と耳を貸さなかった。彼らの省益にも関わるからだろう。つまり法科大学院は妥協の産物だ」と指摘する。

 かつて、司法試験は「最難関の国家試験」と評され、合格すれば法曹関係者は「センセイ」ともてはやされた。そんな「法曹界入りさえすればバラ色人生」だったはずのビジョンは、司法制度改革により、もはや消えてなくなってしまったのだ。