このように、朴大統領に対する韓国民の間の感情的な反発があまりに大きく広がり、極端な政策転換が叫ばれるようになったことについては、一部では「中国・北朝鮮による炎上工作」という陰謀論が囁かれている。もちろん、その真偽はわからないが、国民の感情の爆発が、中国・北朝鮮を利するかたちになり、韓国の安全保障にかかわる事態を引き起こしていることは間違いない。

 別の事例を挙げれば、米国大統領選でのドナルド・トランプ大統領の当選に際する、ロシアの工作が明らかになっていることだろう。韓国の話が「陰謀論」の域を出ないのと比べると、米国の話はより具体的だ。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、米国の民主主義プロセスの信用を傷つけ、トランプ候補を当選させるために、米大統領選に影響を与えるよう指示したと結論付ける調査報告書を、米国の中央情報局(CIA)と連邦捜査局(FBI)と国家安全保障局(NSA)が作成しているのだ。

 報告書によれば、ロシアは米国の政治団体のコンピューターシステムを標的にして、サイバー攻撃で盗んだ情報を流出させ、ハッキングや偽情報の流布、ネットでの匿名の誹謗中傷を行うなど様々な手法を駆使して、トランプ氏の当選を後押ししたという。

 トランプ大統領は「選挙の結果には全く影響がなかった。投票機械が操作されたこともない」として、ロシアの関与を否定し、情報機関を批判している。だが、マイケル・フリン大統領首席補佐官がロシアとの不適切な接触疑惑で辞任するなど、トランプ政権とロシアとの関係に対する疑惑は、政権運営に大きな打撃を与える事態に発展してしまった。

 筆者は、森友学園への国有地売却を巡る問題を、誰かが安倍政権の倒閣を狙ってばら撒いたものだと言うつもりはない。ただ、安倍政権がスキャンダルで弱体化し、退陣という事態になると、その後に起こることは何かということは、念頭に置いた上で批判をしたほうがいいということだ。どんなにひどいスキャンダルであろうとも、感情的になってはいけないのだ。現在の国際情勢を考えれば、時に強硬な姿勢を取ることも辞さない安倍首相に代わり、融和を唱える「物わかりのいい首相」が登場して、喜ぶ国はどこなのかは、慎重に考えたほうがいい。

安倍政権・自民党と保守派の
不適切な関係を断ち切らせるべきだ

 一方で、真逆なことをあえて言うのだが、学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る問題は、安倍政権・自民党と保守勢力の「不適切な関係」を切る、絶好の機会とすべきだとも考えている。この連載では、「日本の誇りを取り戻したい」とする保守派の様々な主張をそのまま実行すれば、日本は衰退の一途をたどるのではないかと疑問を呈した(第144回)。保守派は日本を滅亡させたいのではないかと思えてならないからである。