エアバッグ用インフレータで世界トップクラスのシェアを誇り、がん治療薬で医療に貢献する日本化薬。火薬技術を起点に長年培ってきた技術を融合させ、社員の挑戦を後押ししながら社会課題の解決と持続的成長を実現している。目指すのはニッチ市場でのグローバルナンバーワンだ。
日本化薬川村茂之 代表取締役社長
1916年に日本初の産業用火薬を製造する会社としてスタートした日本化薬。以来、数々の技術を生み出し、多彩な製品を世に送り出してきた。コーポレート・スローガンは「世界的すきま発想。」。現在は、三つの事業領域を将来性のあるマーケットと定め、独自技術による高付加価値の製品を提供、ニッチ市場のグローバルナンバーワンを目指している。
三つの事業領域の一つは「モビリティ&イメージング」。自動車安全部品や液晶ディスプレイ偏光板など、モビリティ技術を支えるデバイスを製造している。「ファインケミカルズ」では、半導体・電子機器材料、色素・インク、触媒など、高機能化学材料を提供。「ライフサイエンス」では、がん治療薬などの医薬品と、環境対応型農薬により人々の健康と食の安全に貢献している。
「当社は、長い歴史の中で、火薬、染料、医薬、樹脂の保有技術を駆使し、これらを融合・変化させながら、時代のニーズに応える製品を作ってきました。企業ビジョンとして“最良の製品を不断の進歩と良心の結合により社会に提供し続ける”という “KAYAKU spirit”を定め、安心・安全・信頼を軸に、持続可能な社会の実現に貢献しています」
そう話すのは、2025年6月に就任した川村茂之社長だ。
例えば同社のマイクロガスジェネレータは火薬技術を応用したガス発生装置で、車両衝突時にシートベルトを自動的に巻き取る役割を果たし、その信頼性から世界でトップクラスのシェアを誇る。
