利権を一人占めする財閥
癒着の実態解明で出てくるものは?

 昨年10月下旬、朴槿恵大統領の友人である崔順実が、大統領の演説草稿などの機密文書を発表前に入手していた政治スキャンダルが発覚した。これを受けて、大統領の知人が国政に介入し、韓国政府の意思決定に影響を与えていたとの疑惑が高まった。

 それ以降、朴大統領の側近らが更迭され、大統領の退陣を求める大規模デモが繰り返された。こうして大統領支持率は史上最低に落ち込み、韓国の政治は大きな混乱に陥った。

 政治スキャンダルへの捜査が進む中、サムスンが崔順実母娘の設立した会社に資金を供出していたことも発覚した。サムスンは大統領に近い崔被告に便宜を図ることで、見返りとして財閥経営への配慮を取り付けようとしていたのである。

 その他、ロッテやSKグループにも家宅捜索が入るなど、崔順実被告の国政介入は財閥企業をも巻き込んだ、前代未聞のスキャンダルであったことが明らかになってきた。

 12月に入ると韓国の国会は財閥トップらに対する聴聞会を開き、一連の政治スキャンダルの真相究明を進めた。この中で韓国経済団体のトップから「政府からの要請は断れない」と政府と企業の癒着を認める発言が出るなど、聴聞会は多くの国民が自国の政治、経済の実態を知る重要な機会になった。

 特別検察官の捜査チームは、贈賄容疑などを理由にサムスン電子の李在鎔副会長の逮捕状を請求したが、ソウルの中央地裁は証拠隠滅などの恐れが低いことなどを理由に請求を棄却した。

 そして2月17日、一転して再請求された逮捕状が発付された。この背景には様々な理由が考えられるが、地裁は韓国経済の利権を独り占めしてきた財閥企業への批判に配慮したのではないか。今回の逮捕を受けて、財閥グループと一部権力者の癒着の実態が明らかにされていくことは、韓国が抱える政治、経済の課題を解決していくために不可欠だ。