10大財閥がGDPの7割占める
不平等感強い社会構造

 長い間、韓国経済は財閥グループに支配され、大企業寡占型の経済体制が続いてきた。韓国経済における財閥企業の存在感がいかに大きいか、象徴的な数字をあげよう。大手10財閥の売上は、韓国のGDPの70%程度に達する。

 また、韓国企業全体の純利益の40%程度が10大財閥のものといわれている。サムスン財閥の中核企業、サムスン電子の売上高はGDPの20%程度に達する。製造業に焦点を絞ると、サムスン電子と現代自動車は、製造業の総売上額の20%程度を占めている。

 サムスンのスマートフォン、現代の自動車の売上が伸び悩むと、経済成長にはかなりの影響が出やすい。韓国経済イコール、サムスンの経営動向と言い換えても過言ではないのだ。

 こうした財閥依存の経済構造の中で、歴代の大統領と財閥の創業一族が癒着し、不正行為が繰り返されてきた。財閥トップらが逮捕されたことはこれまでにもあったが、特赦を受け不正の追及は進んでこなかった。

 また、財閥偏重の経済政策が進んだ結果、内需の拡大に欠かせない中小企業の育成も進んでいない。ウォン安が進み財閥企業の輸出が増加する場合は景気も押し上げられるが、リーマンショック後のように輸出が落ち込み財閥企業の業績が伸び悩むと、韓国経済は失速しやすい。最近でも朴大統領の弾劾などの政治的混乱や社会心理の悪化から消費が伸び悩み、不動産市場の過熱抑制策が一段と経済を圧迫している。

 このように韓国経済にはかなり明確な歪みが存在する。一部の富める者が富み、それ以外の国民は経済成長の果実を享受することが難しい。今回の政治スキャンダルを受けて、多くの国民が財閥を批判し、目先の経済的な恩恵を求め始めている。今年前半にも大統領選挙が実施される可能性がある中、各候補者はそうした民衆の不満を汲み取り、支持を獲得しようとしている。

民衆の不満、ポピュリズム政治に
公平な所得再分配の体制作りが重要

 今後、韓国が国力を引き上げていくためには、政治と経済を改革し、公平に所得が再分配される体制を作るべきだ。しかし、それは口で言うほど容易なことではない。これまでの既得権益を失う層からは大きな反対が出るだろう。社会全体に軋轢が生じることも避けられない。