ダメ会社の会議に似ている

 五百旗頭真防衛大学校長を議長とする東日本大震災復興構想会議が発足し、4月14日に第1回目の会合が行われた。

 不謹慎かも知れないが、このニュースを見て最初に思ったのは、ダメな会社の会議に似ているということだった。経営が上手くいっていない会社、特に、社長が事業を把握して指示を出すことが出来ない会社は、しばしば、経営課題が発生するたびにこの課題に向けた「会議」や「委員会」を発足させる。

 たとえば、具体名は挙げないが日本の運用会社の場合、親会社である大手金融機関から、運用の仕事に詳しいとはとても言えない天下り社長が経営しているケースがしばしばある。運用会社の管理職社員は実のところ時間が余っている場合が多いという事情もあるのだが、この種の会社では、「運用」や「商品企画」、あるいは「リスク管理」といったテーマで次々と会議や委員会が発足し、多くの社員を巻き込む会議が行われることが多い。また、社長の声がけで、外部の専門家を講師に呼ぶ「勉強会」が行われることも多い。

 しかし、本来、経営者が社業を十分把握していれば、個々の社員の貴重な時間を多くの会議に費やすのではなく、プロフェッショナルな仕事に使わせるべきだ。経営者は、方針を提示すると共に必要な指示なり監督なりを行っていればいい。方針の決定や伝達の仕組みとして必要最小限の時間で会議を使うことはあってもいいが、会社に必要なのは、会議ではなく仕事だ。アイデアを募るために会議を行う、などというのは、経営者が機能していない会社の愚行だ。

 東日本大震災復興構想会議は、被災地から3名の県知事がメンバーに名を連ねているが、この他に、建築家、脚本家、学校校長、僧侶など雑多な分野からの識者が加わる合計15人が本会議のメンバーとなっている。

 復興構想会議は、何かを決定する会議なのか。それとも首相その他の「勉強会」的位置づけなのか。同会議が、そもそもどの程度の権限を持っていて、何を決めるのかが曖昧である点からして、スタートから拙いと言わざるを得ないが、初回の会合から、原発問題を含めて議論するかどうかで異論が出たり、復興財源に関していきなり増税の話が出たりと、混乱した内容になった。