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なぜ「そうじ」をすると人生が変わるのか?
【その5】 2011年5月20日
著者・コラム紹介バックナンバー
志賀内泰弘 [コラムニスト]

なぜ「そうじ」をすると人生が変わるのか? 【その5】
実話をベースとした日本初の「そうじ小説」

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この記事は、実話をベースとした日本初の「そうじ小説」である『なぜ「そうじ」をすると人生が変わるのか?』の【第1話】を、全5回に分けて、公開するものです(【その1】はこちら)。

【 9 】

 ランチに出掛けるとき、社長の田中修に、一緒に行かないかと声をかけられた。何かものを言いたそうである。喫茶店でカレーライスを食べながら、圭介は言った。

 「社長…、もう、そうじのことはいいでしょ」
「圭介、ごめん、ごめん。すごくよくやってくれてるよ。まさか全員でそうじをするようになるなんてな。キレイすぎて怖いぐらいだよ…」
「でも…、また何か言いたそうな顔してますよ」

 社長は、苦笑いをして、コップの氷水をグイッと飲み干した。

 「実はなぁ、ちょっとこの2ヵ月くらい、おかしな現象が起きているんだ」
「え? 何か工事にクレームでも」
「いやいや、そういうことじゃなくてな。まず、コピー用紙を使う量がガクンと減ったんだよ。庶務の裕子クンが気づいてな。毎月コンスタントに1箱注文していた量が、急に半分以下になったと言うんだ」

 「え…、偶然じゃないですかねぇ」
「うん、それだけじゃないんだ。毎月買っていたゴミ袋の枚数がな、100枚から30枚に、なんと3分の1になったそうなんだ」

 圭介は言われてみて「ハッ」とした。このことは、毎日のそうじで、なんとなく気づいていたことだった。そうじを始めた頃に比べて、明らかに「社内から出るゴミの量」が減っていた。

 社長は言った。

 「圭介。これは間違いなくな、お前さんがそうじを始めたことと関係があるに違いないとにらんでいるんだ…
「……」

 「そうじはみんなでやっているけど、やり方はそれぞれバラバラだ。窓を一生懸命に拭く人。隅っこを徹底的にキレイにする人。同じ場所を何回も掃く人。でも、みんなそれぞれが、どうしたら早くキレイになるか考えながらそうじしているはずなんだ。誰でも時間をムダにしたくはないからな。その中で、打ち合わせなんてしないからわからないけど、一人ひとりが何か変った気がするんだよ」

 「どこがですか?」

 「うまくは言えんのだが…、1つだけ『ゴミが出なくなったという事実』をもとにして言うと、そうじをしているうちにゴミそのものを出さない工夫をするようになったんじゃないかな。なぜかというと、ゴミを出すと、結局、後で自分がそうじをしなくちゃいけない。なら、最初からゴミを出さないように工夫すればいい。例えば、封筒を開封した際の切れ端。ホチキスの針。そういった細かいゴミは、それこそ、今までは床に落としたこともあったかもしれない。でも、そうじを意識していると、ちゃんとゴミ箱に入れる。コピーもだ。ムダを出さないように、無意識にミスコピーをしないようにと考えるようになったんじゃないかなって」

 なるほど。そう考えれば納得がいく。最初は「ただ、そうじをしていただけ」だったが、何かが変わりはじめているのだ。

 

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志賀内泰弘 [コラムニスト]


某金融機関を平成18年8月に退職。
24年間勤めたサラリーマン生活にピリオドを打ち、
現在は、普通では得られない強力な「異業種の人脈」

をベースにして、
コラムラスト、俳人、飲食店プロデューサー、
経営コンサルタント、ボランティア活動のほか、よろず相談に乗っている。

さまざまな活動を通じて、周りを楽しませ、
「ギブ・アンド・ギブの精神」で、趣旨に感銘すれば、
たとえ自腹になろうとも、何でも引受ける。

連載に、中日新聞、目黒雅叙園広報誌「雅」など多数。
著書に『毎日が楽しくなる17の物語』(PHP研究所)、
『みんなで探したちょっといい話』(かんき出版)、
『タテ型人脈のすすめ』(ソフトバンククリエイティブ)、
『「今度こそ絶対!」続けるコツ』(明日香出版)など、多数。

なぜ「そうじ」をすると人生が変わるのか?

本書は、実話をベースとした、日本初の「そうじ小説」です。
主人公は、とあるサラリーマン。
公園でみかけた「ゴミ拾いをする老人」との出会い。
たった1つの空き缶を拾ったことから、人生が変わりだします。
「ゴミを1つ拾う者は、大切な何かを1つ拾っている」からなのです。

「なぜ「そうじ」をすると人生が変わるのか?」

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