関西電力が、暗く長いトンネルを抜けつつある。2月22日、関電大飯原子力発電所3、4号機が原子力規制委員会の安全審査に合格した。これで同社は保有する9基のうち、7基で安全審査の合格を獲得した。
再稼働へ向けた審査は今後も続き、立地自治体の同意を得る必要もあるため、すぐに再稼働というわけではない。だが、大きなヤマを越えたことになる。
関電は東日本大震災後に吹き荒れた反原発機運などお構いなしに、再稼働へ向けて経営資源を集中させてきた。それは、もともと電源に占める原発依存率が50%を超えるほど高かったこともあるが、再稼働の先に巨額の収益改善が見込めるからだった。大飯3、4号機の再稼働は、実に1カ月100億円もの収益改善効果をもたらす。
だからこそ、関電は原発再稼働に執念を燃やしてきた。そのかたくなさは「原発と心中」とやゆされるほどだったが、今となっては妥当な戦略となってきた。
というのも、再稼働できるかどうかの最終的な鍵は、今や原子力規制委員会の安全性に関する専門的な審査ではなく、各地方裁判所の裁判長が握るようになったからだ。原発に反対する住民は全国の地裁へ再稼働差し止めの仮処分を多数申請しており、関電高浜原発3、4号機は2016年3月の大津地裁での仮処分により停止した。