深セン市中心部の華僑城(OCT)エリアは、電化製品の工場が建ち並ぶ地域をリニューアルして、文化地区にしようとしている。その名もOCT LOFTという地区は工場の跡地にニューヨークのソーホーのようなセレクトショップやギャラリーが並び、若者たちがデザイナーズブランドを立ち上げたりしている。(チームラボMake部 高須正和)
果たして深センからカルチャーは生まれるか。今回はOCT LOFTを紹介する。
第2回の「8000人の画家が住む深センの絵画村が年700億円を稼ぐ理由」などで紹介したとおり、いまの深セン中心部は労働集約型の産業から付加価値の高い産業に転換しようとあれこれ模索している。製造から設計/デザインへ、さらには文化の発信へといった動きだ。
深セン市中心部の「華僑城」(Overseas Chinese Town,以下OCT)エリアでは、工場の跡地をカルチャー地区に変えようという試みが続いている。
超ガーリーなファッション雑誌が
公式ショップを置くエリア
中国で大人気の女子向けガーリー雑貨・ファッションマガジン「Little Thing Magazine」は、2012年に深センで創刊され、ここOCT LOFTのセレクトショップが並ぶエリアに公式ショップを置いている。
そのエリアではフリーマーケットや自分でデザインした服を売る女性などが集まり、深センの他の地区や、僕らのステレオタイプな中国のイメージとはだいぶ異なる風景が見られる。
Little Thing magazineは一冊75元(約1200円)と中国の雑誌の中ではかなり高いにもかかわらず22.5万部の発行を数え、読者の多くが定期購読しているという。日本で80~90年代にマガジンハウスなどの出版社が出していたファッション誌を思わせるスタイルで、日本でも代官山の蔦屋家電などで販売されている。日本のスタイリストが紙面に登場したり、日本のデパートなどでポップアップショップを展開することも多く、日本での公式通販サイト(日本語版があるわけではなく、中国語の雑誌を日本で販売)もある。