「オープンストリートマップ」を聞いたことがあるだろうか。みんなで情報を持ち寄って地図を作る仕組みのことで、クレジットさえ入れれば誰でも無料で利用できるマップだ。特に災害が起こると、どの道が通行止めか、どの道が災害エリアなのか、リアルタイムで状況を素早く反映させるのに役立つ。そこで今回は、「オープンストリートマップ」に取り組んでいる古橋大地青山学院大学教授に、災害対策にドローンを活用することがいかに重要かについて語ってもらった。
私は青山学院大学の地球社会共生学部で教員をしていますが、本業は地図屋と答えています。学生達にも地図のつくり方を教えています。先進国にいると気づきませんが、途上国に行くと地図がないのが当たり前です。しかし、テクノロジーの力を借りると一人ひとりが地図を通じて社会に貢献できる時代になっています。
例えば、2016年の6月には地図作成のためにタイのパンガン島に行き、ドローンを使って航空写真を撮影してきました。伊豆大島ほどの島を自動制御のドローンを使って、たった一人で空撮してきました。その解像度は数cmです。この画像情報をもとに地図を作ることができます。
これまでの地図といえば民間の地図会社がお金や人などのコストをかけて商用利用する地図を作ってきました。ところがWeb上の地図で有名なGoogleマップは印刷して配布することはできません。それはGoogleがゼンリンの地図を購入して使い、著作権によって地図が保護されているからです。
オープンストリートマップとは
みんなで情報を持ち寄って地図を作るもの
私が参加しているのは、みんなで情報を持ち寄って地図を作るオープンストリートマップという仕組みです。クレジットさえ入れれば誰でも無料で利用できます。オープンストリートマップはウェブ上でボランティアが道や建物などの情報を入力してWikipediaの地図版を作成するような取り組みです。
最近ではFacebookの地図もオープンストリートマップを利用するようになりました。日本でもYahoo!地図や日立のナビアプリにも使われています。オープンストリートマップならば著作権を心配する必要はありません。事前の許諾も必要ありません。