石川遼の前に立ちはだかるのは
損な役まわり?

 男子プロゴルフツアーは第2戦のつるやオープンを終えた。大会を制したのは19アンダーを記録した近藤共弘(33)で3年ぶり5度目のツアー優勝。優勝賞金2400万円を獲得した。

 今季の獲得賞金全額を東日本大震災の義援金として寄付すると宣言し、これまで以上に注目されている石川遼は10アンダーの15位タイ。獲得賞金は182万8800円だった。また、バーディは18を記録。バーディ1個につき10万円が加算されるため、計362万円あまりが今大会の義援金となった。3位になった第1戦・東建ホームメイトカップは合計1044万円、20位だったマスターズの賞金を合わせると、すでに2300万円あまりを寄付することになる。

 石川の今季の出場予定大会は25試合前後。絶好調とはいえない3大会で寄付金額が2000万円を超えているのだから、目標の2億円は十分達成可能だ。恐るべき19歳であることを改めて実感する。

 ところで石川の「今季の賞金を全額寄付」という挑戦に、他のプロから「やりづらい」という声が出ているそうだ。ただでさえ人気がある石川が、こうした善意の挑戦を行うとなれば、多くの人たちが応援する。同じ大会を戦う他のプロは、その善意を阻止する存在であり、どうしても悪役になってしまうというわけだ。

 他のプロにしたって大半はチャリティ活動はしている。だが、金額的にも注目度でも石川には負ける。損な役まわりなのだ。

 男子プロゴルフツアーの1大会における賞金総額は1億~2億円。優勝賞金は2000万円から4000万円といったところだ。4日間ゴルフをして優勝すればこれだけの大金を手にできるのだから、庶民から見れば夢のような世界だ。

 しかし、実際はリッチなのはほんのひと握りであり、大半のプロが苦しい生活を強いられている。終わったばかりのつるやオープンを例にとれば、賞金総額は1億2千万円で優勝者には2400万円、2位の賞金は約1000万円だった。が、順位が下になるにつれ賞金はどんどん下がっていき、最下位の63位の選手は27万円だった。