人生は自由になる面とならない面とが
半々と考える日本人

 5年毎の世界価値観調査では、毎回、「あなたは、ご自分の人生をどの程度自由に動かすことができると思いますか」という問に10段階で答える設問を継続している。データが入手できる最新のデータは、2010年から2014年にかけて60ヵ国で実施された2010年期の調査結果である。

 図1上には、まず、日本の2010年期の結果を10段階ごとの回答率で示した。回答結果は5、すなわち「人生は全く自由にならない」と「人生は全く自由になる」の真ん中に票が集まっている。つまり、人生は自由にならない面と自由になる面とが半々と考える日本人が多いことを示している。また、5より小さい方より5より大きい方の回答の方が多くなっているが、ほぼ、標準的な“山型”をしている。

◆図1 「人生は自由になるか」の回答分布(日本)

©本川裕 ダイヤモンド社 禁無断転載  拡大画像表示

 これだけ見れば、日本人であれば、何の不思議もない結果だと思うであろう。ところが、世界の中では、これは非常に特異な回答結果なのである。

 この点について触れる前に、世界価値観調査がはじまった1981年以降のこの設問の結果推移を見ておこう。図1下には、平均点で推移を示した。バブル経済が破綻し、失われた10年といわれた1990年~2000年の時期でも、実は、人生の自由度は上昇したという回答結果となっている。この時期、人々の不自由感が増したわけではなさそうである。