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China Report 中国は今

震災で加速する“モノづくり”の中国シフト――岐路に立たされる日本の町工場

姫田小夏 [ジャーナリスト]
【第74回】 2011年5月6日
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 4月半ば、首都圏の町工場は“余震”に煽られていた。「あいにく、社長は外出中で…」、筆者が掛ける電話口ではそんな応対が相次いだ。震災の影響等で、製品の原材料などの入荷状況に目処が立たず、どこの社長も客先への対応で東奔西走。いわゆるサプライチェーンが寸断されて大混乱と言った様子が伝わってくる。

 同時に、水面下では中国シフトが始まっている。2010年から本格化した第4次中国進出ブームも、3月11日以降、その動きをピタリと止めた。が、震災から1ヵ月を経て見えてきたのは、むしろその加速である。

 この震災でどの町工場も教訓としたのは、部品調達を国内に過度に依存していたということだった。「社長は今、上海出張中で…」、埼玉県のスプリングメーカーからはそんな応対もあった。電話に出たのは専務である妻、社長である夫は最近中国に設けた拠点に張り付いているという。

 地震直後の14日、上海の地元紙が日本のメディアに先んじて報道したのは、基幹部品のサプライチェーンの寸断だった。例えば、フォックスコン(世界最大のEMS企業)でも、日本から落ちてきた多機能型携帯電話の生産受注を奪い取ろうと鵜の目鷹の目、中国企業の全体が特需にあやかろうと受注の奪い合いを展開している。

 「モタモタしていたら中国に仕事を持って行かれてしまう」と、町工場経営者の多くが漠とした不安感を抱くようになった。

町工場にとって
中国はまだまだ遠い国だった

 これまで日本の製造業界、とくにその裾野を支える町工場では、中国シフトをめぐり感情論も存在した。「中国でモノなんか作れるわけがないじゃないか」と、たいがいの経営者は中国アレルギーを示していた。日本の製造業は「中国に出尽くした」と言われて久しいが、町工場にとって中国はまだまだ遠い国だったのだ。

 ところが震災を経て、町工場の経営者がその見方を変え、海外生産を意識するようになったのだ。

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姫田小夏 [ジャーナリスト]

ひめだ・こなつ/中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、「ローアングルの中国・アジアビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」主宰に。語学留学を経て、上海財経大学公共経済管理学院に入学、土地資源管理を専攻。2014年卒業、公共管理修士。「上海の都市、ビジネス、ひと」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)、共著に『バングラデシュ成長企業 バングラデシュ企業と経営者の素顔』(カナリアコミュニケーションズ)。

 


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90年代より20年弱、中国最新事情と日中ビネス最前線について上海を中心に定点観測。日本企業の対中ビジネスに有益なインサイト情報を、提供し続けてきたジャーナリストによるコラム。「チャイナ・プラス・ワン」ではバングラデシュの動向をウォッチしている。

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