長寿の食卓~あの人は何を食べてきたか~ 樋口直哉
【第32回】 2017年3月16日 樋口直哉 [小説家・料理人]

宇喜多秀家、八丈島流刑でも長寿の秘密は名産のアシタバ?

 現在、八丈島にあった宇喜多秀家屋敷跡付近では久福茶屋という今川焼き屋さんが営業をしている。運営は島の住人を中心にした八丈島久福会のメンバー。今川焼きは住民の方がボランティアで焼いていて、通常の味の他、八丈島の名産品であるアシタバの粉末を練り込んだものがある。

 このアシタバこそ、秀家の長寿の源ではないか。貝原益軒が『大和本草』に八丈島の薬草として書いているアシタバには、豊富なビタミンや食物繊維の他、アシタバカルコンというポリフェノールが含まれている。健康作用については不明瞭な部分が多いが、腫瘍細胞の増殖を抑制し、転移を抑えることが期待されている。もちろん食べ物に過度な期待をするのは禁物。バランスのよい食生活を送るための野菜の一つくらいの気持ちで、食事に加えたい。

 ところで八丈島の南原千畳岩海岸には、秀家と豪姫の夫婦の石像がある。秀家が流刑に処された後、夫婦は離ればなれのまま一生を終えたが、二人は石像となって再会し、今も岡山の方角を眺めている

参考資料/「アシタバについて」永田純一著(国立健康・栄養研究所)

(小説家・料理人 樋口直哉)

この連載記事のバックナンバー
トップページへ戻る

樋口直哉 [小説家・料理人]

1981年生まれ。服部栄養専門学校卒。料理人として活動する傍ら、2005年、『さよならアメリカ』で群像新人文学賞を受賞し、小説家としてデビュー。ほかの作品に『月とアルマジロ』(講談社)、『大人ドロップ』(小学館)、『星空の下のひなた。』(光文社)、『ヒマワリのキス』(徳間書店)、『アクアノートとクラゲの涙』(メディアファクトリー)がある。

 


長寿の食卓~あの人は何を食べてきたか~ 樋口直哉

1日でも長く生きたい――。きっと多くの人が望むことだろう。では、実際に長生きをした人たちは何を食べてきたのか。それを知ることは、私たちが長く健康に生きるためのヒントになるはずだ。この連載では、歴史に名を残す長寿の人々の食事を紹介。「長寿の食卓」から、長寿の秘訣を探る。

「長寿の食卓~あの人は何を食べてきたか~ 樋口直哉」

⇒バックナンバー一覧