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出口治明の提言:日本の優先順位
【第5回】 2011年5月10日
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出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]

震災前と震災後で、日本が直面している構造的課題は
何一つ変わっていない

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 東日本大震災からの復興を考える前に、最低限、押さえておきたい重要なポイントが1つある。それは、震災前と震災後で、わが国が直面している構造的な課題は何一つ変わっていないということだ。言い換えれば、わが国の経済・社会が何一つ問題のない健康優良児のような状態にあれば、白地に絵を描くように大震災からの復興の問題のみに没頭できるが、そうでない以上は、これまで抱えてきた(あるいは先送りされてきた)構造的な課題の検討を避けて通ることはできないということだ。

 すなわち、わが国がこれまで抱えてきた構造的な課題に、復興の問題がプラス・オンされたということである。したがって、わが国の構造的な課題と復興の問題は、同じベクトルの下で併せて解決の方向を探らなければならない。

わが国の構造的な課題を突き詰めれば、
少子高齢化、財政の悪化、競争力の低下の3点に尽きる

 では、わが国がこれまで構造的に抱えてきた課題とは何か。私見では「少子高齢化」「財政の悪化」「競争力の低下」の3点に尽きる。

第1の課題:少子高齢化

 まず、少子高齢化である。戦後20世紀後半のわが国は、歴史上稀に見る高度成長を約半世紀の長きに亘って享受してきたが、それを支えた大きな要因の1つが人口(労働力)の増加だった。これに対して21世紀前半のわが国は、歴史上類を見ないスピードで少子高齢化が進むものと想定されている。

 私は、歴史上、人口が減ってなお持続的に栄えた国も地域も寡聞にして知らない。加えて、国立社会保障・人口問題研究所の(中位)推計によると、現在は3名弱の勤労人口(20~64歳)で1名の高齢者(65歳~)を支えているが、2050年になると、これが1.2名で1名を支える構造へと変化する。誰が考えても、このような超高齢化社会が持続可能であるわけがない。そして、人口ピラミッドの是正は、一朝一夕でできることではない。

 現在のわが国は、実は、人口を増やす政策をそれこそ根こそぎで総動員しなければならない瀬戸際に既に追い込まれているのだ。

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出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]

1948年、三重県美杉村生まれ。上野高校、京都大学法学部を卒業。1972年、日本生命保険相互会社入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当。生命保険協会の初代財務企画専門委員会委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に従事。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て同社を退職。その後、東京大学総長室アドバイザー、早稲田大学大学院講師などを務める。2006年にネットライフ企画株式会社設立、代表取締役就任。2008年に生命保険業免許取得に伴い、ライフネット生命保険株式会社に社名を変更、同社代表取締役社長に就任。2013年6月24日より現職。主な著書に『百年たっても後悔しない仕事のやり方』『生命保険はだれのものか』『直球勝負の会社』(以上、ダイヤモンド社)、『生命保険入門 新版』(岩波書店)、『「思考軸」をつくれ』(英治出版)、『ライフネット生命社長の常識破りの思考法』(日本能率協会マネジメントセンター)がある。

ライフネット生命HP

 


出口治明の提言:日本の優先順位

東日本大地震による被害は未曾有のものであり、日本はいま戦後最大の試練を迎えている。被災した人の生活、原発事故への対応、電力不足への対応……。これら社会全体としてやるべき課題は山積だ。この状況下で、いま何を優先すべきか。ライフネット生命の会長兼CEOであり、卓越した国際的視野と歴史観をもつ出口治明氏が、いま日本が抱える問題の本質とその解決策を語る。

「出口治明の提言:日本の優先順位」

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