
パナソニックが成長軌道に乗れない一因として、古い体質を指摘する声が上がっている。そこでダイヤモンド編集部は、企業の与信管理を支援するベンチャーが集めた口コミデータを基に、パナソニック、日立、ソニーの企業文化を徹底分析。特集『パナソニック 正念場』の#5では、電機大手3社の組織風土の実情を明らかにする。パナソニックの体質は、本当に競合よりも古いのだろうか。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)
業績が伸び悩むパナソニック
低成長の一因は組織風土
今年5月に1万人のリストラを発表したパナソニック ホールディングス(HD)では、これまでも20年以上にわたって人員削減や改革を繰り返してきた。
だが、それでも成長軌道に乗ることはできず、ライバルの日立製作所やソニーグループに大差をつけられてしまった(パナソニック、日立、ソニーの時価総額の推移については、本特集の#2『パナソニック「歴代トップの通信簿」25年分を公開!企業価値の増加率でソニー、日立と徹底比較』参照)。
低成長の原因について、パナソニックのベテラン社員は「体質が古く、従業員一人一人が自分の部署の利益しか考えておらず、全社的な視点がない」と語る。パナソニックが成長軌道に乗るためには、リストラや組織の再編だけでなく、企業文化の改善も必要なようだ。
では、パナソニックの組織風土で「改革」の効果は出ていないのだろうか。
ダイヤモンド編集部は、企業向けに与信管理サービスを提供するベンチャー企業、アラームボックスのデータを基に、パナソニック、日立、ソニーの各グループについて、働き方や待遇、職場環境に関する社員の不満投稿を分析した。
過去3年分の推移を徹底分析したところ、社員からの評価は、時価総額や業績の推移とは別の変化をしていることが判明した。次ページの図で見るように、パナソニックの一部グループ会社では、組織改革の効果が表れているのだ。
一方、ポートフォリオの転換に成功して好調を維持する日立やソニーの口コミを分析すると、組織風土の意外な一面が明らかになった。ネガティブな口コミが少ない企業もあれば、業績とは裏腹に不満投稿が噴出しているところもあるのだ。
次ページでは、パナソニック、日立、ソニーの組織風土の実情を明らかにする。昭和気質の残る会社はあるのだろうか。