新春の生活保護占いはいきなり「大凶」
外国人に生活保護の適用は必要ないのか?
2017年1月5日木曜日夜、本連載の記事を手離れさせてホッと一息ついていた私は、友人・知人たちがSNSに書き込んだテレビ番組に対する感想を読み、びっくり仰天した。
その番組とは、NHK・Eテレの「ハートネットTV」で放映された「シリーズ 暮らしと憲法」の第2回「外国人」だ。「ハートネットTV」は、障害者や福祉について、他のメディアが取り上げない題材を積極的に取り上げてきた番組だ。切り口は鋭く、必ずしも「お茶の間にウケる」とは限らないが、そこは視聴率が売上に響くわけではないNHKの「強み」をフル活用しているのだろう。
しかし友人・知人たちの感想は、「そのハートネットが?」と私を驚愕させる内容だった。テレビを持たない生活が33年目に入っている私だが、その番組はなんとしても見ないわけにはいかない。というわけで、手段を講じて視聴した。そして、真っ青になった。
番組は、日本で働き続け、年老いて生活保護に頼るしかなくなった外国人労働者たちの姿を、その人々の生活の基盤が日本にしかないことと共に示している。また、日本で生まれ育ち、日本語を第一言語としている外国人の少年少女たちの姿や声も紹介している。
その人々に生活保護以外の選択肢がないのなら、福祉事務所と生活保護ケースワーカーの出番となる。番組の中では、外国人の多い豊橋市で、外国人生活保護世帯に親切・丁寧に対応するケースワーカーの姿も紹介されている。
しかしながら、番組の内容を一言で要約すると、「外国人に生活保護は適用しなくてもよいのではありませんか?」だ。冒頭では、日本国憲法が定めた「基本的人権」や「法の下の平等」の主語が国民であること、憲法には外国人に関する記述はないことが紹介されている。
また、当分の間「外国人に生活保護制度を準用する」とした1954年の厚生省通達を紹介し、豊橋市のケースワーカーの声として、「半世紀以上……当分の間というには長過ぎる気が」という意見を紹介している。
また、2014年7月、日本の永住権を持つ外国人高齢女性が生活保護を申請したところ、認められなかった件に関する最高裁判決があった。番組は、最高裁判決の「生活保護は日本国民に限られる」「自治体の判断で外国人に支給している」という判断も紹介している。
年明け、神社で引いたおみくじは「中吉」だった。しかし新春生活保護占いは、大凶だ……。