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森信茂樹の目覚めよ!納税者

復興財源の議論は「国の形」を選ぶこと
財源に対する姿勢を軸に
既存の2大政党を再編成せよ

森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]
【第5回】 2011年5月16日
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あらためて国家の役割を考えた

 5月の連休を活用して、被災地を見て回った。

 たまたま宿泊した場所には、被災自治体の避難所兼仮設町役場(支所)が設置されており、夜遅くまで高齢者の方が話し込んでいる姿が印象的であった。翌日訪れた石巻漁港の惨状は、筆舌に尽くしがたいものがあった。

 瓦礫のあいまに、つい先日まで使っていたであろう生活用品が無残な姿で散らばり、津波が日常を一瞬にして破壊したことを物語っていた。女川地区を回ると、延々と続く扇形の入江は、完膚なきまでに津波に巻き込まれて破壊されていた。山に囲まれた地形の谷線を、10メートルを超す津波が駆け上ったのである。

 この震災がわれわれにもたらすものは、物質的な変化というより心理的・精神的な変化で、今後、様々な場面におけるわれわれの判断や発想に、目に見えない形での影響を及ぼすのではないか、というのが実感であった。

 もう一つ、国家とは何なのかということである。自然災害により親族やお金や思い出までも失った国民に対して、国家は何をすべきなのか。直感的に浮かんだのは、彼らに対して、少なくとも憲法の保障する健康で文化的な生活をおくる権利を保障するという役割である。

 日本国で生まれ育ち、生活のために働いてきた以上、国家はこのような危機こそ全力を挙げて救済すべき役割を負っている、このことを強く感じさせた。その上で、国家がその役割を果たすべき財源について考えてみた。

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森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]

(もりのぶ しげき)法学博士。東京財団上席研究員、政府税制調査会専門家委員会特別委員。1973年京都大学法学部卒業後、大蔵省入省、主税局総務課長、東京税関長、2004年プリンストン大学で教鞭をとり、財務省財務総合研究所長を最後に退官。その間大阪大学教授、東京大学客員教授。主な著書に、『日本の税制 何が問題か』(岩波書店)『どうなる?どうする!共通番号』(共著、日本経済新聞出版社)『給付つき税額控除』(共著、中央経済社)『抜本的税制改革と消費税』(大蔵財務協会)『日本が生まれ変わる税制改革』(中公新書)など。
 

 


森信茂樹の目覚めよ!納税者

税と社会保障の一体改革は、政治の大テーマとなりつつある。そもそも税・社会保障の形は、国のかたちそのものである。財務省出身で税理論、実務ともに知り抜いた筆者が、独自の視点で、財政、税制、それに関わる政治の動きを、批判的・建設的に評論し、政策提言を行う。

「森信茂樹の目覚めよ!納税者」

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