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脳にまかせる勉強法
【第10回】 2017年3月31日
著者・コラム紹介バックナンバー
池田義博

記憶競技で生み出した速習法

新刊『世界記憶力グランドマスターが教える 脳にまかせる勉強法』では、脳の仕組みを活用し、4回連続記憶力日本一、日本人初の記憶力のグランドマスターになった著者による世界最高峰の勉強法を紹介していきます。記憶力が左右する試験、資格、英語、ビジネスほか、あらゆるシーンで効果を発揮するノウハウを徹底公開します。

復習を効率的に行うには……

 私が参加している記憶競技には、1時間もの制限時間をかけて覚える種目があります。

 記憶時間が1時間ともなると、覚える量は相当なものになります。

 日頃から練習を積んでいる記憶競技の選手でさえ、これを一度で記憶するのはまず不可能で、どの競技者も制限時間内に必ず復習をして覚えているのです。

 そこでポイントとなるのが、どのように復習をすればより効率的かです。

 私が最初に試した復習は、前節で説明したような全範囲を繰り返して覚えるもので、薄い記憶を塗り重ねて厚くする方法です。

 この方法で練習を始めると、すぐに問題点が浮かび上がってきました。

 先ほどのペンキ塗りの例でいうと、塗り重ねて壁を完成させようとやってみたら、壁の面積が思ったより広かったのです。

 壁が広いと、当然ながら1回の塗りでは色は薄く、ところどころにムラができてしまいます。つまり記憶が非常に薄いうえに、記憶の定着にもばらつきがあるということです。

 そこでムラをなくすために、1回で塗る範囲を狭くしました。範囲が狭いので簡単にすばやく塗り重ねることができます。また、小さい達成感をいくつも味わいながら進められるので、モチベーションもキープできます。

 全範囲をいくつかの狭い範囲に区切り、その狭いエリアごとに復習をしながら、次のエリアに進みますが、狭い範囲ごとの復習にも工夫を重ねました。

 復習というのは、ある程度忘れかけた頃に行うことにより、初めて記憶を強くする作用があるのです。

 あまり忘却が進んでいない段階で復習しても脳が働く必要がないため、記憶が強化されません。

 そこでその点を改良して、一つの狭い範囲を繰り返すのではなく、次のエリアに進んで少し記憶が薄れてきたときに、一つ前に戻って復習するという形をとることにしました。

 昔の歌に「三歩進んで二歩さがる」という歌詞がありましたが、ここでは「二歩進んで一歩さがる」といったところでしょうか。

 この方法だと、各エリアの学習を3回転して進んでいくことになります。記憶が落ち切ってしまうのを防ぎながら、学習を進めることができるのです。

 スピードを上げて学習を進めても、すぐに2回も復習できるという安心感があるため、立ち止まらずにスピードをキープして進めることができるという、うれしい副作用もありました。

 こうして生まれた速習法は、一般的な勉強全般にも通用する方法です。

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池田義博(いけだ・よしひろ)

一般社団法人日本記憶能力育成協会会長。
大学卒業後、大手通信機器メーカーにエンジニアとして入社。その後、学習塾を経営。 塾の教材のアイデアを探していたときに出合った記憶術に惹かれ学び始める。このとき、記憶力を競う記憶力日本選手権大会の存在を知り出場を決意。独学での 練習の末、初出場した2013年2月の大会で優勝し記憶力日本一となる。その後、14年、15年と3連覇。17年も優勝し、出場した4回すべて記憶力日本 一に。
また、13年12月、ロンドンで開催された世界記憶力選手権において、日本人初の「記憶力のグランドマスター」の称号を獲得する。
次の夢は技術としての記憶力を広く世の中に伝え、さまざまな立場の人々の記憶力向上に貢献し、それにより豊かな生活を享受してもらうこと。その活動を使命とし形にするため、一般社団法人日本記憶能力育成協会の設立に至る。
NHK総合「ためしてガッテン」や「助けて! きわめびと」、TBSテレビ「マツコの知らない世界」など、テレビ出演多数。


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「脳にまかせる勉強法」

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