第3の要因は男性側の変化だ。

 90年代以降、非正規労働者が急増したことが、男性未婚者の増加につながった。ちなみに、男性雇用者に占める非正規雇用者の比率は90年には9%に過ぎなかったが、2010年には18%。25~34歳の結婚適齢期に限って見ると、3%から13%と4倍以上に跳ね上がっている。

 なお、2007年の厚生労働省の調べでは、20~34歳男性の独身者のうち、その後5年間に結婚した人の割合は、非正規労働者では12%。正規労働者(24%)の半分だ。

「年収300万円が結婚の分岐点」。

 今月11日、内閣府が公表した統計結果は、さまざまなマスメディアに取り上げられた。それによれば、20~30代男性の既婚者は、年収300万円未満なら約9%。300万~400万円になると26%程度と、3倍近くなるという。

 だが国税庁の調査では、年収300万円以下の男性は全体の25%だ。非正規労働者の場合、年収200万円未満はじつに59%にのぼっている。

「独身貴族」は続かない?!
単身世帯の老後は想像より悲惨

 単身世帯の生活は、高齢になると2人以上世帯より苦しくなる――

 藤森さんの分析結果から、こんな厳しい現実も浮かび上がってきた。

「単身世帯は持ち家率が2人以上世帯より低いため、消費支出に占める家賃や地代の比率が高くなりがち。また、外食費などもかさみがちです。一方、2人以上世帯では、子どもの教育費や住宅ローンなどの支払いが終わると、暮らしにゆとりが生まれやすいといえます」

 もちろん、単身世帯と一口に言っても、ヒルズ族からネットカフェ難民まで、収入の程度はさまざまだ。

 問題は、低所得のため結婚できない単身者の老後。現在、単身男性に占める貯蓄残高150万円未満の人の割合は、60代で21%、70歳以上でも17%にのぼる。「借家に住む単身者は、無業になれば家賃を払えず、住宅を失うリスクも高い」と藤森さんは指摘する。

 また親が要介護状態になれば、兄弟がいない場合、自分が介護をしなければならない。こうした「シングル介護」の負担が重圧となり、ついには仕事を失う可能性もある。

 もちろん既婚男性も、こうしたリスクと無縁ではない。高齢になれば配偶者と死別する可能性があるのは当然として、前述したように離婚率も高まっている。誰がいつ単身者になるかわからないのが現実だ。「会社」と個人の絆が希薄化したように、「家族」というセーフティネットもまた、弱まっているのだろう。