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日本を元気にする新・経営学教室

競争的流通市場は効率的か?
フランチャイズ料と費用削減投資の役割
京都大学大学院経営管理研究部教授 成生達彦

内田和成 [早稲田大学大学院商学研究科教授],成生達彦 [京都大学大学院経営管理研究部教授],平野光俊 [神戸大学大学院経営学研究科教授],髙木晴夫
【第16回】 2011年5月21日
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 多くの生産者は、流通・販売促進上の十分なノウハウを持ってはおらず、自らが生産した財の販売を卸や小売などの流通業者に委ねている。今回は、(生産者間のインタラクションを排除して)議論を単純化するために、十分に差別化された財を生産する企業、または独占的生産者を想定した上で、何人の流通業者に販売を委ねるかについて検討する。

 生産者と流通業者の間の取引では、生産者が出荷価格(=流通業者にとっての仕入れ価格)を提示し、それを受けて、流通業者が注文量を決めるというのが常態である。この状況で、自社製品を取り扱う流通業者の数が多くなれば、彼らの間の競争が激しくなり、流通マ-ジンが減るため、小売価格が下がる。

 このことによって総販売量が増えるから、出荷価格を一定とすれば、生産者の利潤も増える。それと同時に、小売価格が低くなっているため、消費者厚生も向上する。

 確かに、流通業者数が増えれば、彼ら1人あたりの販売量は減り、利潤も少なくなるが、(生産者と流通業者の利潤および消費者厚生の和である)経済厚生は増加する。すなわち、流通業者数が多くなれば「二重マージン問題」が軽減されるという意味で、競争的流通市場は効率的である。

フランチャイズ料の徴収

 次に、生産者が流通業者から(定額の)フランチャイズ料を徴収できるとしよう。生産者はフランチャイズ料の額を操作することによって、チャネルに生じた利益を再分配することができる。

 販売を委ねるために、流通業者に非負の利益を保証する必要はあるが(以下では単純化のために、流通業者に保証する利潤をゼロとする)、残りを自らの利潤にすることができる。この状況では、生産者は(分配される)チャネル全体の利潤を最大にするように行動することになる。

 ここで留意すべきことは、出荷価格=仕入れ価格の水準は、それが高くなり生産者の利益が増えれば、流通業者の利益が減るというように、チャネル全体の利益には影響を及ぼさないということである。

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内田和成(うちだ かずなり) [早稲田大学大学院商学研究科教授]

東京大学工学部卒、慶應義塾大学経営学修士(MBA)。日本航空を経て、1985年ボストンコンサルティンググループ(BCG)入社。2000年6月から04年12月まで日本代表。09年12月までシニア・アドバイザーを務める。BCG時代はハイテク・情報通信業界、自動車業界幅広い業界で、全社戦略、マーケティング戦略など多岐にわたる分野のコンサルティングを行う。06年4月、早稲田大学院商学研究科教授(現職)。07年4月より早稲田大学ビジネススクール教授。『論点思考』(東洋経済新報社)、『異業種競争戦略』(日本経済新聞出版社)、『スパークする思考』(角川書店)、『仮説思考』(東洋経済新報社)など著書多数。ブログ:「内田和成のビジネスマインド

 

成生達彦(なりう たつひこ) [京都大学大学院経営管理研究部教授]

1952年生まれ。78年横浜国立大学大学院経済学研究科修士課程卒業、81年京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修学、89年米国ノ-スカロライナ州立大学大学院卒業(Ph.D.)、81年南山大学経営学部に就職、94年に教授、同年京都大学博士(経済学)、98年京都大学大学院経済学研究科教授、2006年京都大学大学院経営管理研究部教授、2008年~09年京都大学大学院経営管理研究部研究部長。主著に『ミクロ経済学入門』など。

平野光俊(ひらの みつとし) [神戸大学大学院経営学研究科教授]

1980年早稲田大学商学部卒業、94年神戸大学大学院経営学研究科修士課程修了、98年同大学院博士課程修了、博士(経営学)、2002年から同大学院助教授、2006年から現職。経営行動科学学会会長、日本労務学会常任理事、日本労働研究雑誌編集委員。主著に『日本型人事管理』中央経済社。


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好評だった経営学教室の新シリーズ。新たな筆者お二人を迎えて、スタートする。国内市場は成熟化する一方、グローバル化は急速に進展し、新興国の勃興も著しい。もはや、自ら新たな目標を設定し、ビジネスモデルを構築しなくてはいけない時代に突入している。日本企業に漂う閉塞感を突破するには、何がキーとなるのか。著名ビジネススクールの気鋭の教授陣が、リレー形式で問題の所在を指摘し、変革のヒントを提起する。

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