最初の「崖」は定年を迎える60歳。現在定年を迎える人は、満額の年金を受け取れるのは65歳からなので、多くの人は年金生活がスタートする65歳まで再雇用で働くことになる。しかし、50代までと同じ額の給料をもらえることはまずない。金額は勤務先より大きく異なるが、首都圏だと300万~400万円程度が多数だ。年収は50代で受け取っていた額の3分の1程度に「ダウン」すると思っていたほうがいい。

 そして、65歳で年金だけの生活に入ると、収入はもう一段階ダウンする。これが2回目の「崖」である。公的年金額も人により異なるが、よく使われるモデルは、40年間サラリーマンだった男性で年200万円くらい(厚生年金+基礎年金)。配偶者がいる人は、配偶者の分も合わせた金額が世帯年収となる。

 60歳以降の「収入ダウンの崖」を具体的に金額で見て、愕然とした人が多いのではないだろうか。サラリーマンは誰しも50代までの収入が永遠と続くとは思ってはいないだろうが、年収が下がるイメージを具体的に持っている人はそれほど多くない。

 50代までと同じお金の使い方をしていると、毎年の収支は大赤字になることは必至だ。赤字になっても何とかなるのは、60歳時に受け取る退職金があるから。しかし、ノープランで定年以降の生活をスタートすると、あっという間に退職金は目減りし、70歳くらいで貯蓄が底をつくことになりかねない。まさに「老後貧乏」の典型例だ。