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「週刊文春」編集長の仕事術
【第21回】 2017年4月6日
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新谷学

私は日本でいちばん不倫とシャブをしてはいけない男

つねに世間を賑わせている「週刊文春」。その現役編集長が初めて本を著し、話題となっている。『「週刊文春」編集長の仕事術』(新谷学/ダイヤモンド社)だ。本連載では、本書の読みどころをお届けする。
(編集:竹村俊介、写真:加瀬健太郎)

偉い人は褒めても心に響かない

 私もやっぱり人間なので、好き嫌いは当然ある。仕事上、仕方なく付き合う人もいるが、50歳を過ぎてくるとわがままになってくる。自分にとってストレスでしかない人とは、基本的に付き合わないようにしている。

 「考え方や感性があまりにも違う」「この人とはなかなかわかり合えない」「ネガティブなことばかり言うから会うと暗い気持ちになる」と感じるような人とわかり合う努力をするよりも、わかり合える人と人間関係をより深め、そこを基点に広げていくほうがよっぽど生産的だ。

新谷学(しんたに・まなぶ)
1964年生まれ。東京都出身。早稲田大学政治経済学部卒業。89年に文藝春秋に入社し、「Number」「マルコポーロ」編集部、「週刊文春」記者・デスク、月刊「文藝春秋」編集部、ノンフィクション局第一部長などを経て、2012年より「週刊文春」編集長。

 ただ、私は苦手な人は少ない方だと思う。ちょっと癖がある人であっても、最初から腰を引くようなことはしない。そして、誰が相手でも、偉い人であってもなるべく直球でものを言うように心がけている。

 初対面で相手を褒めることはあるが、権力を持っている人ほど「すごいですね」「さすがですよね」などと言っても「当たり前だ」と思われて、あまり心に響かない。そうではなく、一定の敬意を払いつつも思ったことは率直に言った方が相手の懐に入れてもらえることもある。率直に言って切られるなら、それは仕方がない。自分とはたまたま相性が悪かったのだ。敗者復活するケースもあるが、いったんはあきらめるしかない。

敬意は表しても迎合しない

 週刊文春のデスク時代、あるテレビ局の大幹部と初めて会った。いつもの調子で「私はいくら仲良くなっても書くときは書きますよ」と言った。「僕のことも書くの?」と聞かれたので「当たり前じゃないですか」と言ったら、すごく怒ってしまった。「それはひどいな、君! 何のために君と付き合うんだ!」と。私はその人とはそれ以来会っていない。これはさすがに合わないと思ったからだ。

 相手に敬意は表するが、必要以上に迎合するようなことはしない。迎合して付き合っても、あまりメリットはない。自分が思ったこと、言うべきことは、相手にしっかり直球で伝える。それが全然受け入れられない、あるいは、わかり合えないような人とは、無理に付き合わなくてもいいと思っている。むしろその直球を、おもしろがって、かわいがってくれる人もたくさんいる。そういう人との関係をより深めていくほうが、よっぽど建設的だと思う。

 苦手な人と立て続けに会っていると、自分のテンションも落ちてくる。疲れてしまう。やはり、会って元気が出る人と会いたいものだ。

 裏返せば、自分自身も相手から見て「会ったら元気になる存在」でありたい。元気を与える存在になることができれば、いろんな人が「ご飯食べよう」などと誘ってくれる。「あいつ、おもしろいから」「あいつと会うと、なんか元気出るんだよな」と言われるのは、まさに編集者冥利に尽きる。

 「私は日本でいちばん不倫とシャブをしてはいけない男なんです」。最近では会う人ごとに挨拶代わりにこんな話をしているが、皆さん笑ってくれる。編集者はサービス業であり、接客業である。人におもしろがってもらって、喜んでもらえる存在でありたい。雑誌には否が応にも作っている人間がにじみ出る。私自身が雑誌作りをおもしろがらなければ、読者にそのおもしろさは伝わらない。もっと言えば、人生そのものをおもしろがる精神が大切なのだと思う。

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新谷学

1964年生まれ。東京都出身。早稲田大学政治経済学部卒業。89年に文藝春秋に入社し、「Number」「マルコポーロ」編集部、「週刊文春」記者・デスク、月刊「文藝春秋」編集部、ノンフィクション局第一部長などを経て、2012年より「週刊文春」編集長。

 


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