その意味で、親という存在に縛られず、家族の概念を国全体にまで拡大できる可能性の高い国だと言えます。そして僕たちは、そんな日本という国の一員なのです。

 さらに言えば、そういう日本だからこそ、ロボットの研究では圧倒的な強みがあると考えています。

 日本はこれまで時計でも、家電でも、自動車でも、ものづくりに関してはすべて世界一を取ってきました。「トップになれなかった分野がない」と豪語してもいいくらい、日本人はものづくりが得意です。

 それは日本という一つの大きな家庭のようなところで、協力し合えたからだと思います。

 ヨーロッパは人種が入り乱れ、貧富の差も大きい。階級をつくって、上の人が下の人を虐げるような構造になっているので、労働を苦役とする傾向が強く、働くことの目的が日本人とは明らかに違います。

 日本人は貧富の差がない、非常にフラットな民族なので、むしろ「社会の中で自分の役割を見つけよう」というモチベーションで働いている。だから、よく働くんですね。

 労働時間はいささか長いかもしれません。しかし、お金のためよりも、ものをつくることへのプライドを心の軸にして働いているので、いいものができて当たり前で、その結果、すべてのものづくりにおいて世界一になった。

 ロボットにおいても、日本は産業ロボットで圧倒的に世界をリードしてきました。

 これに続く日常活動型ロボット、日常生活の中で様々なサービスを提供するロボット、あるいは人間型ロボットの社会はもうそこまで来ています。

 そこで日本は再び世界のイニシアチブを取れると、僕は確信しています。

 世界的にも稀有なバランスの取れた国だからこそ、国全体が一つの家族になれる国だからこそ、世界に先駆けて豊かなロボット社会がつくれるはずだと信じて、研究に取り組んでいます。