米連邦準備制度理事会(FRB)は昨年12月から今年3月にかけて、銀行間の短期金利を合計0.5%引き上げた。そして、世界の金融市場は米国の利上げ観測やその動向に大きく揺れてきた。
しかしながら、FRBよりもはるかに大胆に短期金利を引き上げている中央銀行がある。中国人民銀行だ。
上海銀行間取引金利(SHIBOR)の3カ月物を見ると、昨年10月上旬には2.8%程度だったが、この4月上旬は4.4%前後だ。半年間でなんと1.6%もの引き上げが実施されている。その理由は次のように考えられる。
第一に、中国経済は昨年後半から回復基調にある。中国政府は足元の景気動向には不安を感じていない。
第二に、中国にしては低金利環境が続き、民間の資金需要が伸びない中で一部の中小金融機関は不健全な投資を行ってきた。そういった動きをけん制し、市場におけるマネーのだぶつきを引き締める必要が生じている。
第三に、人民元の下落圧力が強まらないように、FRBが利上げを行うならば、中国でも金利を引き上げておこうという判断もあるようだ。
なお、中国の生産者物価指数は前年比で8%近い上昇だが、消費者物価指数は同1%未満の上昇と落ち着いている。そこで中国人民銀行は、本来の政策金利である1年物貸出金利は据え置きつつ、SHIBORを引き上げてバランスを取ろうとしている。