新刊『世界記憶力グランドマスターが教える 脳にまかせる勉強法』では、脳の仕組みを活用し、4回連続記憶力日本一、日本人初の記憶力のグランドマスターになった著者による世界最高峰の勉強法を紹介していきます。記憶力が左右する試験、資格、英語、ビジネスほか、あらゆるシーンで効果を発揮するノウハウを徹底公開します。

脳が理解しやすいように自分の目標を伝える

 多くの著名人が目標達成や成功に向けて行っている共通の方法があります。

 それがどれくらい強力なのかは、過去に出版された多くの成功法則本の中にも連綿と書き続けられてきたことからもわかります。

その方法とは、『世界記憶力グランドマスターが教える 脳にまかせる勉強法』にも頻繁に登場する「イメージの力」を利用するものです。

 ここでいう「イメージ」も、頭の中に浮かべる映像のことを指します。イメージの力を借りることによって、成功の可能性が高まるのです。

 人は毎日いろいろな行動をとりますが、皆さんはそのすべてが意識して「こうしよう」と決めてからとっているものだと思っていませんか。

 確かに「あれをしよう」「これをしなければ」と考えてから行動する場合もありますが、それはほんの一部にすぎません。

 人の行動を決定する要素の、じつに9割は無意識からの影響によるものといわれています

 朝起きてから学校や会社に行くまでの行動は、深く考えてとっているわけではありませんよね。自動車の運転やお風呂で体を洗うときなども同様でしょう。

 普段の何気ない行動は、気づかないうちに潜在意識によって動かされているものです。

 となれば、この潜在意識に自分の目標を植え付けることさえできれば普段の行動が勝手に目標達成を目指したものになるはずです。

 潜在意識の入り口はやはり脳ですので、脳に入り口のドアを開けてもらわなければなりません。そのためには脳が理解しやすいように自分の目標を伝える必要があります。

 脳の立場を話の聞き手に置き換えてみると、わかりやすいかもしれません。

 ある人がとても大事な話を相手に伝えようとしたとします。

 その人は自分ではわかりやすく話したつもりでしたが、相手からは何を言っているのかわからないと言われてしまいました。

 それに対し、別の人が同じ話を同じ相手にしたところ、今度はとてもわかりやすかったと言われたとします。

 この差は何だったのでしょうか。

 わかりやすかった人の話し方は、聞き手がその話を聞いているうちに、頭の中にその映像が自然に浮かんでくるようなものだったのです。

 映像とはイメージです

 イメージはわかりやすいのです。しかも相手の印象にも強く残ります。

 ところで脳はとても優秀な反面、少しあいまいな一面を同時に持っている組織でもあるのです。

 それはどんなところかというと、どうやら脳は現実とイメージの区別があまりうまくできないようなのです。

 つまり、「実際に現実に存在する何かを見ること」と「頭の中で作り上げたイメージを見ること」は脳にとっては同じことなのです。

 これはじつに好都合じゃありませんか。

 脳は、頭の中で想像したイメージを本物と思ってくれるということです。そうなると、前に紹介した記憶の仕組みを利用することができます。

 何度も繰り返し、そのイメージを復習することによって、強く記憶に焼き付けることができるということです。

 実際にはまだ実現していないけれど、頭の中で作り上げたイメージの経験が、「未来の記憶」を作り出してくれるというわけです。そしてその内容が潜在意識の中に刷り込まれることによって、日々の行動が目標達成に向けて自動操縦されるようになるのです。

 イメージを浮かべることは難しくありません。夜ふとんに入ってから眠る前に、目標を達成して喜んでいる自分、祝福してくれている家族や友人の姿、また達成した後の新たな環境、そのようなイメージを頭の中に想像してみてください。

 最初はもしかするとぼんやりした状態かもしれませんが、繰り返していくうちにはっきりと映像を浮かべることができるようになります。

 ましてや目標が達成したり、成功したりするイメージです。ワクワクすると思いませんか?

 そのワクワク感が脳にも伝わり、より強くそのイメージが刻まれることになるのです。

 毎晩、「自分の未来」の映画を観て脳を喜ばせてから幸せな眠りにつきましょう。