2011年6月15日(水)、経済産業省から日本の自動車産業の窮状と課題を詳細に分析した興味深い資料が公表された。これは、「日本経済の新たな成長の実現を考える自動車戦略研究会」中間取りまとめだ。
同研究会のメンバーは15名。内訳は自動車メーカーのトップが7人、自動車部品業界トップ2人、自動車販売業界トップ1人、電子・電池業界トップ2人、燃料業界トップ1人、有識者2人だ。
具体的には、天野洋一/社団法人日本自動車販売協会連合会会長、石谷久/東京大学名誉教授、伊東孝紳/本田技研工業株式会社代表取締役社長、小川紘一/東京大学総括プロジェクト機構知的資産経営総括寄附講座・客員研究員、小林喜光/三菱ケミカルホールディングス代表取締役社長、志賀俊之/日産自動車株式会社代表取締役最高執行責任者(一般社団法人日本自動車工業会会長)、下村節宏/社団法人電子情報技術産業協会会長(三菱電機株式会社取締役会長)、白井芳夫/日野自動車株式会社代表取締役社長、鈴木修/スズキ株式会社代表取締役会長兼社長、豊田章男/トヨタ自動車株式会社代表取締役社長、信元久隆/社団法人日本自動車部品工業会会長(曙ブレーキ工業株式会社代表取締役社長)、深谷紘一/株式会社デンソー取締役会長、本間充/社団法人電池工業会会長(三洋電機株式会社代表取締役副社長)、益子修/三菱自動車工業株式会社代表取締役社長、山内孝/マツダ株式会社代表取締役社長、(以上、50音順、敬称略)だ。
彼ら(または同職の人)のほとんどが2010年4月12日に経産省が公表した「次世代自動車戦略2010」の次世代自動車戦略研究会のメンバーだ。つまり、今回公開された資料は事実上の「次世代自動車戦略2011」である。
本来、この「次世代自動車戦略」は毎年更新される予定はなかった。今年2月7日、筆者が話を聞いた経産省の担当者も、「当初の目的は完了し、当面の間、会合の予定はない」と話していた。
では、今回の発表に至った経緯、つまり「日本経済の新たな成長の実現を考える自動車戦略研究会」なるものを経産省が召集した理由は何か。そのワケついては、同報告書の冒頭の文章に詳しい。