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相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

減税日本ナゴヤの正念場
河村庶民革命の失速

相川俊英 [ジャーナリスト]
【第27回】 2011年6月21日
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 飛ぶ鳥を落とす勢いだった名古屋の河村たかし市長が一転して窮地に陥っている。それも既成政党の反撃によるものではなく、自壊自滅の恐れである。

 6月定例市議会の開会を金曜日(6月24日)に控え、体制の立て直しに懸命だが、容易ではない。勢いに任せ疾走し続けてきたことのツケが噴出した感がある。  

 これでは既成政党と何ら変わらないではないかー。こんな怒りと落胆の声が名古屋市民の間で噴出している。怒りの矛先は、河村たかし市長が率いる地域政党「減税日本」の議員たちに向けられている。

 特権に胡坐をかく既成政党と既成政治家を痛烈に批判し、市議会リコールを成功させた名古屋市の河村たかし市長。今年3月の出直し市議選(定数75)でも「減税日本」を最大会派(28議席)に躍進させるなど、一大旋風を巻き起こした。だが、まさに一寸先は闇である。大量の新人議員(27人)を乗せて船出したばかりの「減税日本」(正式会派名は減税日本ナゴヤ)が、不祥事と足並みの乱れで大揺れとなっている。早くも存亡の危機に直面しつつあるといってよい。

 「看板を自らの手でへし折ってしまった」

 こう唇を噛んだのは、「減税日本」の市議団長だった則竹勅仁氏。受け取り拒否を公約していた費用弁償(議会開会日に交通費や日当名目で支給される金。日額1万円)を密かに使用。政務調査費の不適切な処理も発覚し、6月6日に議員辞職した。

 則竹氏は「減税日本」唯一のベテラン議員(3期目)で、河村たかし市長の元秘書。誰もが認める側近中の側近だ。「議員特権の廃止」を政治信条に掲げた則竹氏にとって、費用弁償の受け取り拒否は自らの存在意義に直結するものだった。「報酬の二重取り」としか言いようのない費用弁償こそ、「議員特権」を象徴する存在であるからだ。則竹氏は03年の初当選時から受け取りを拒否し、法務局に供託していた。この行動が所属していた会派内(民主党市議団)で批判を浴び、会派を除名されてしまった。以来、則竹議員は一人会派となり、河村市長誕生後は唯一の市長派議員として活動していた。

 費用弁償は昨年3月末で廃止となったが、則竹氏が供託した金額はその時点で536万円に達していた。他の議員が堂々と懐に入れ、自由に使っていた金を則竹氏は痩せ我慢して手を付けずにいたのである。そして、そのことを自らの選挙公約の第一に掲げていた。

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相川俊英 [ジャーナリスト]

1956年群馬県生まれ。放送記者を経て、1992年にフリージャーナリストに。地方自治体の取材で全国を歩き回る。97年から『週刊ダイヤモンド』委嘱記者となり、99年からテレビの報道番組『サンデープロジェクト』の特集担当レポーター。主な著書に『長野オリンピック騒動記』など。


相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

国政の混乱が極まるなか、事態打開の切り札として期待される「地方分権」。だが、肝心の地方自治の最前線は、ボイコット市長や勘違い知事の暴走、貴族化する議員など、お寒いエピソードのオンパレードだ。これでは地方発日本再生も夢のまた夢。ベテラン・ジャーナリストが警鐘を鳴らす!

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