だが杉江社長は、仕入れ構造改革について「利益貢献額は目標値を上回ったが、改革に要したコストを含めればマイナスの可能性がある」と負の側面を挙げ、中小型店の展開については「ビジネスモデルを確立する前に店舗数を拡大してしまった」として見直す方針を強調。特にエムアイプラザについては、新規出店の原則凍結を打ち出すなど、大胆に見直す考えだ。

 加えて、大西前社長が、顧客離れが止まらない百貨店事業に代わる成長事業として進出を決めたエステや旅行、外食事業については、「百貨店補完ビジネス」という位置付けに後退させたほか、早期退職の退職金割増額をさらに増やし、業界内で割高と言われる人件費を圧縮する考えを示した。

 こうした方針転換について杉江社長は、「従業員とひざ詰めで話し合った」と述べ、まずメディアに方針を語って既成事実化してから社内に通達するトップダウン型の大西前社長との違いを何度も強調して見せた。

もはや周回遅れ?

 ただ、今回、未達に終わった中期経営計画は、杉江社長が当時、経営戦略本部長として大西前社長とともに策定したもの。社長就任時の記者会見でも「計画の立案には私も携わった」と明言している。

 杉江社長は、不採算事業の見直しを後回しにして成長事業を優先していた大西前社長に対し、「自分はコストカットに最優先に取り組むべきだと訴えていたと」主張するが、「なぜ計画策定時ではなく、今になって全否定するのか疑問は残る」と指摘する百貨店関係者は少なくない。

 また、リストラと、基幹3店舗を始めとする本業である百貨店事業の収益力強化を打ち出した杉江社長だが、その前途は多難と言わざるを得ない。

 リストラについては、大西前社長もコストカットに手をつけなかったわけではない。それなりに進めようとはしてきたが、労働組合や、社内の抵抗勢力が反対してきたといわれる。3月に三越の千葉店と多摩センター店、そして高崎店を閉店したものの、今後さらなる不採算店舗の閉鎖は不可欠。しかし、店舗閉鎖には抵抗が強く、その実現には相当の困難が予想される。