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広まる「米国デフォルト観測」は杞憂か、的中か?
“ひょうたんから駒”で世界恐慌が再来する可能性

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第180回】 2011年6月21日
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にわかに信じられない米国のデフォルト観測
「建国以来最大の危機」は本当に訪れるか

 財政状況の悪化に苦しんでいるのは、わが国や一部の欧州諸国だけではない。世界の覇権国である米国も急速に財政状況が悪化しており、すでに5月の時点で国債発行の上限である14兆3000億ドルを使い果たしてしまった。

 つまり、現在の枠組みでは、これ以上国債を発行できない状況に追い込まれているのである。

 オバマ政権は、議会に対して発行上限の引き上げを要請しているのだが、今のところ、野党である共和党の強い反対で引き上げのメドが立っていない。8月までは、何とか特別措置などでやりくりはつけられるものの、それ以降は、政府の資金繰りが行き詰まる可能性も否定できない。最悪の場合には、既存国債の償還ができないことも想定される。

 多くの投資家は、そうした最悪の事態は避けられると見ているため、足もとでは米国債の流通利回りは安定した展開を示している。ただし、8月までオバマ政権と議会との間で合意がなされない場合には、「米国債のデフォルト」という最悪の事態が現実味を帯びてくる。

 そうした状況に対して、一部の格付け会社は、米国の格付けを「安定的」から、「ネガティブ」に変更している。また、国債発行枠の増額ができない場合には、米国のAAAの格付けを引き下げる可能性に言及する格付け会社もある。

 そうした国=連邦政府の財政状況の悪化に加えて、州政府の状況はさらに悪化している。一部の専門家からは、「州政府のデフォルトは現実味を帯びてきた」との指摘もある。当分、米国の国・州の政府は、景気刺激と財政立て直しの両方を睨んだ政策運営をしなければならない。

 サブプライム問題の発生以降、米国政府は多くの資金を住宅関連機関の救済や景気刺激策などに使ってきた。さらに、2008年9月15日のリーマンブラザーズ破綻によって政府の支出はさらに拡大し、近年、米国の財政状況は急速に悪化することになった。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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