セイコーエプソンが狙うオフィス向けインクジェット機の勝算Photo by Masato Kato

2016年度に、為替の影響を除く本業の業績では増収増益となったセイコーエプソン。中期経営計画の折り返しの年を迎えた同社の碓井稔社長に、注力点を聞いた。

──2018年度を最終年度とした中期経営計画が2年目を迎えました。ここで注力することは。

 1960年代から培ってきた、当社のものづくりのDNAである省・小・精(「エネルギーを省く」「モノを小さくする」「精度を追求する」)のキーワードを大事にしつつ、「社会になくてはならない会社になる」ことです。

 競合との勝負に一喜一憂せず、エプソンでなければ提供できない価値や、世の中の期待を上回るものを、最初に作る会社になる。「インクジェット」「ビジュアル」「ウエアラブル」「ロボティクス」の四つの分野でイノベーションに注力します。逆に、競合が多くエプソンがやることに意味のない事業、レーザープリンターや半導体、液晶などからは撤退しました。

 また、主体のコンシューマー向けの事業で培った技術はB2B(企業間取引)向けに転用できるものがたくさんある。インクジェットプリンターの技術を、布に印刷する捺染装置などの産業用プリンターに応用したり、レーザープリンターよりも高速でランニングコストの低いオフィス用インクジェットプリンターを開発したのは、その例です。