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日本総研 「次世代の国づくり」

電力の需要サイドが主導権を握る
次世代エネルギーシステムで日本の復興を
――日本総合研究所創発戦略センター所長 井熊 均

井熊 均 [日本総合研究所創発戦略センター所長/執行役員]
【第6回】 2011年7月1日
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次世代エネルギーシステムの基本理念

 東京電力福島第一原子力発電所の事故を契機に、日本の将来のエネルギーシステムに関する議論が盛り上がっている。原発か再生可能エネルギーか、という狭い視野に留まることなく、次世代に目を向けてエネルギーシステムを議論することが、今の日本にとっては重要だ。震災で改めて分かったように、信頼あるエネルギーシステムは生活、産業活動の基盤である上、エネルギーこそ最大の成長原資である低炭素産業の中心であるからだ。

 前回述べた様に、次世代のエネルギーシステムを立ち上げるには5つの理念が必要だ。

 即ち、特定の技術、資源、供給システムに頼らない「多様性」、特定の資源への依存が少なく地球環境に貢献する「持続性」、限りある資源と自然エネルギーの効用を最大限に発揮する「効率性」、需給双方の状況が把握できる「透明性」、常時、災害時を問わず需給が適切に制御される「自律性」である。

 これに加えて、震災の経験を踏まえ二つの観点を加えなくてはならない。

 一つ目は、原発事故に伴う電源の損失をどのように補うかである。我々の試算では、今後、原子力発電所の新規建設がなく、原子力発電所の耐用年数を40年とした場合、20年後に原子力発電所の発電容量は2000万kw以上削減される。これを補うためには、徹底したエネルギー効率の向上と大胆な再生可能エネルギーの導入が不可欠だが、コジェネレーションなどによる化石燃料の利用効率の向上も重要になる。

 二つ目の観点は、発電所が立地する地域の負担を解消することである。今回の事故では、東京電力管内の電力のために、福島県の方々が悲惨な負担を背負うことになった。これまで原子力発電所を受け入れた地域には、巨額の電源立地対策交付金を交付することで、立地の負担を補おうとした。

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井熊 均 [日本総合研究所創発戦略センター所長/執行役員]

いくま ひとし/1983年早稲田大学大学院理工学研究科修了、三菱重工業(株)入社、90年日本総合研究所入社、95年アイエスブイ・ジャパン設立と同時に同社、取締役に就任(兼務)、97年ファーストエスコ設立と同時に同社マネージャーに就任(兼務)、2003年早稲田大学大学院非常勤講師(兼務)、03年イーキュービック設立と同時に取締役就任(兼務)、06年日本総合研究所 執行役員 就任。近著に『次世代エネルギーの最終戦略-使う側から変える未来』(2011年、東洋経済新報社)『電力不足時代の企業のエネルギー戦略』(2012年、中央経済社)。


日本総研 「次世代の国づくり」

日本はまさに歴史の転換点にたっている。この認識に立ち、日本総研は2009年より「次世代の国づくり」をテーマに活動している。その活動の一環として09年3月より報道関係者を対象とし、勉強会を開催してきた。本連載は11年度に開催する勉強会の内容を基に、日本総研の研究員が総力を結集して、次世代の国づくりに向け、多岐にわたるテーマを提言していく。

「日本総研 「次世代の国づくり」」

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