今回の東日本大震災では、エネルギー分野で3つの課題が浮かび上がった。

 ①原子力から多様な電源ポートフォリオ、特に再生可能エネルギーへの転換、②地域毎に分断された電力供給システムからの転換、③政策当局と関連業界の緊密な関係の見直しである。

なぜ再生可能エネルギーの
既存送電網への接続が難しいのか

 電源としては中長期的には再生可能エネルギーが主体になる。ただし、普及に向けては、コスト、系統接続(電力会社の所有する送配電網への接続)において課題が存在している。電力の固定価格買取制度ができれば、再生可能エネルギー導入におけるコストの問題は解消される。しかしながら、系統接続においては、日本の送電網は風力発電の受け入れ可能量が発電設備容量の5%程度(図1参照)とされており、接続が容易でないという問題が残っている。

 この背景には、地域完結型の電力システムがある。日本の電力業界は、終戦直後から長期にわたり維持されてきた、9つの地域電力会社による供給体制を取っている。この電力供給システムは、地域の需要を地域の供給でまかなう地域完結型の構造を取っており、地域間の送電線の連系は、最低限の融通を行うための連系線の整備あるいは運用にとどまっている。