残業抑制策に有休取得奨励、大手商社が「働き方改革」競争中伊藤忠商事では岡藤正広社長自ら朝食メニューにまで口を出し、トップダウンで朝型勤務制度を定着させた

 大手商社が相次いで「働き方改革」に力を入れ始めている。

 三井物産は6月1日、個人単位での時差出勤制度を開始する。

 1日当たりの所定労働時間(7時間15分)は変えず、始業時刻を午前7時45分から10時45分まで15分刻みで選ぶことができる。前日までに申請すれば、始業時刻は毎日変えることも可能だ。社員個々人に最も効率的な勤務時間を決めさせることで、非効率な働き方による長時間労働を抑制する。

 豊田通商では5月上旬から10月末までの約半年間、国内拠点の社員約4000人を対象に朝型勤務制度を開始した。後述する伊藤忠商事が全社員を対象に通年で行っているのに対し、「担当する国によって時差があり、一律で朝型勤務を強いるべきではない」(豊田通商)として義務化はしない。

 また、住友商事では今年1月末から毎週金曜日を有給休暇取得の奨励日とする「プレミアムフライデーズ」を開始。有休取得が難しい場合でも、フレックスタイム制度を活用し、コアタイム終了時刻の午後3時での退社を促す。

 時差がある海外との仕事も多く、もともとハードワークな商社業界。昨年末には電通社員の過労自殺問題で同社幹部が労働基準法違反の疑いで書類送検されるなど、長時間労働の是正に向けた対応が求められる中、大手商社は次々に新制度を導入し始めている。