Photo by Toshiaki Usami

──グーグルの検索機能やアマゾンの関連書紹介機能に対抗しうる新たな書籍関連システムを開発しているそうだが、どんなものか。

 たとえばグーグルの検索エンジンを使って新渡戸稲造の『武士道』を検索すれば、まさにそのものだけがピンポイントで表示されるだろう。だからこそ便利なのだが、それだけでは本と出合う手法としては不十分だ。

 新たな本に出合うオンラインサービスとしては、アマゾンの「この商品を買った人はこんな商品も買っています」というリコメンド機能があるが、これは基本的にはユーザーの購入記録をベースにしたもの。そのため、たとえばシリーズの第1巻を購入すれば、第2巻が紹介されるということが起きる。確かに関連書ではあるのだが、新たな出合いとはいえないだろう。

 これに対し、現在、大日本印刷と共同でわれわれが開発中のシステムは、独自に手作業で分類した、“全人類の知”の軌跡に基づいた本を紹介するというものだ。

 具体的には、書籍の中身の背景や構造を解説したうえで、同じ背景や構造を持つ関連書籍がひと目でわかるように表示される。編集工学研究所が30年かけてつくり上げてきた、“知の情報体系”を利用したシステムだ。