「引きこもり男性の26%は、発達障害の可能性が高い」――
最近注目されている「広汎性発達障害」と、年々、高年齢化、長期化する「引きこもり」との関連性が、研究者の調査報告によって、このほど明らかになった。
調査を行ったのは、徳島大学大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部の境泉洋准教授(臨床コミュニティ心理学)らのグループ。
境准教授らは、これまで8年間にわたって、引きこもり当事者や家族に大規模調査を実施してきた。今回、引きこもりと発達障害の関連を調べるため、2010年7月から9月にかけて、全国の引きこもり家族会や当事者の集まりなどで調査用紙を配布。その場で回収(一部は郵送によって回収)する方法によって、調査を行った。
調査対象者のうち、協力が得られた回答者は、引きこもり本人82人と家族332人。
平均年齢31.61歳、平均期間10.21年
高年齢化と長期化が一層進む
まず家族への調査によれば、引きこもり本人の平均年齢は31.61歳で、最年長は51歳。男性が75.6%。2008年に調査したときの平均年齢30.12歳に比べると、約1.5歳上がっている。引きこもりの高年齢化が進んでいることは、ここでも裏付けられた形だ。
引きこもり期間も、平均10.21年で、最長は34年。08年の調査では、平均8.95年だったため、今回は10年を超えて、やはり長期化も進んでいる。
また、「就労経験(アルバイトを含む)がある」と答えた人は、181人。全体の54.5%と高い。
これまでの引きこもりの不登校の延長というイメージと違い、半数以上が就労してから職場不適応を起こす、“新たな引きこもり層”であることが、このデータからもうかがえる。
一方、引きこもり本人への調査でも、平均年齢は29.09歳で、最年長が52歳。男性が76.8%を占めた。家族への調査とほぼ同じような結果が示されたといえる。